質問主意書

第189回国会(常会)

質問主意書


質問第一七三号

株式会社日本証券クリアリング機構の情報システム等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十七年六月十八日

藤末 健三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   株式会社日本証券クリアリング機構の情報システム等に関する質問主意書

 株式会社日本証券クリアリング機構(JSCC)は、有価証券やデリバティブ取引の清算業務を行う金融商品取引清算機関の一つであり、二〇〇二年七月に当時の国内五証券取引所及び日本証券業協会の出資により設立された。現在は、株式会社東京証券取引所や株式会社大阪取引所(旧大阪証券取引所)と同様に、株式会社日本取引所グループの傘下にある。
 二〇〇八年のリーマン・ブラザーズ経営破綻に端を発する世界金融危機の局面では、相対の店頭デリバティブ取引における取引相手方の破綻が、市場全体へのリスクの波及を招くおそれのあることが強く認識された。このため、国際的な金融規制改革の一環として、清算機関(クリアリングハウス)の利用義務付け(清算集中)などの措置が講じられている。こうした流れを受け、日本でも金融商品取引法の改正により清算集中制度が設けられ、JSCCにおいてもCDS取引や金利スワップ取引の清算業務を行うに至っている。
 このように、金融市場における清算機関の役割がますます重要なものとなっていることから、東京市場における主要な清算機関であるJSCCに関して、情報システム面を中心に、規制・監督当局である政府の認識を明らかにするため、以下質問する。

一 今後、東京市場の国際競争力を強化し、国際金融センターとしての地位を確立するためには、決済・清算機能についても市場の進化に対応した機能強化・利便性向上が不可欠である。
 欧州のLCHクリアネットや米国のCMEグループなど、大規模なクリアリングハウスが国際的に業務を拡大している中で、政府としては東京市場の国際競争力強化に資するため、いかなる点に留意して、JSCCを含めた金融商品取引清算機関に対する監督を行っているのか。

二 金融に関する技術の進展や投資家の新たなニーズに対応して、新たな金融商品が生まれるなど金融商品や金融市場は日々進化を遂げており、それを支えるインフラである決済・清算システムにおいても、こうした進化に対応していく必要がある。
 JSCCでは、グローバルな競争を勝ち抜くための業務基盤をより確実なものとすべく、経営方針に「システム基盤の確実な強化」を掲げている。政府は、JSCCにおけるシステム基盤の強化に向けた取組をどのように把握しているのか。また、政府は、JSCCを含めた金融商品取引清算機関の情報システムについて、どのような点に留意して検査や監督を行っているのか。

三 私は、LCHやCMEに比べて、JSCCのシステム更新スピードは極めて遅く、こうした進化に対応することが困難となっているのではないかと感じている。その主な要因としては、JSCCのシステムがCOBOLという三世代以上前の古いコンピュータ言語で書かれているため、機能が低いままにとどまっており、システムを改修しようにもCOBOLを理解するエンジニアが少なくなっていることがあると考えている。
 仮に、JSCCがこのまま旧態依然のレガシーシステムを使うことになれば、日本の金融インフラの発展が遅れ、アジアのクリアリングハウスの中心としての地位を香港やシンガポール等に奪われることなど、日本の国益にとっても大きな損失となりかねない。政府は、JSCCの情報システムの機能や改修の実態をどのように把握しているのか。また、JSCCに対してどのような対応を求めるのか。

  右質問する。