第189回国会(常会)
質問第一〇二号 北部訓練場へのヘリパッド増設に伴う沖縄県東村高江区長からの要請に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 平成二十七年四月八日 糸数 慶子
参議院議長 山崎 正昭 殿 北部訓練場へのヘリパッド増設に伴う沖縄県東村高江区長からの要請に関する質問主意書 北部訓練場内のヘリパッド(着陸帯)建設事業は、同訓練場の一部返還に伴い、東村高江区周辺に新たに六つのヘリパッドが建設されようとしているものである。このヘリパッドは、同区及びその周辺地域への騒音被害や住民の安全に影響を及ぼすものであるだけにとどまらず、同ヘリパッドの近くの絶滅危惧種でもあるノグチゲラの営巣地にも深刻な影響を与えるなど、環境破壊をもたらすものでもある。特に、一部のヘリパッド(N4地区)については、米側への提供手続前にもかかわらず米軍機が使用するなど、その運用状況は杜撰きわまりなく、周辺住民も不安を募らせていたところ、本年二月十七日には、N4地区のヘリパッドが正式に米軍へ先行提供されることが閣議決定され、実際に運用も開始されたことで、住民は不安を倍増させている。このような危険で環境破壊をもたらす施設の建設・運用は、即刻中止すべきである。 他方で、平成二十二年七月二十日には、東村高江区長名で、地域住民の生活環境の担保と迷惑補償の観点から、十八項目からなる「北部訓練場へのヘリパッド増設に伴う要請について」(以下「要請書」という。)が、東村長を通じて沖縄防衛局に提出されている。 この要請書は、必ずしもヘリパッド建設を容認したものではなく、実際に建設が行われ、一部先行して運用されている状況に鑑みると、実際に住民が被っている不利益に対する補償措置である要望事業等について、政府は適切に対応すべきである。 よって、以下質問する。 一 新たなヘリパッド建設及び米軍への提供は、北部訓練場の一部返還の条件であったが、今回、ヘリパッドが一部提供されたにもかかわらず、北部訓練場一部返還について何らの動きも見られない。現在、事実上、ヘリパッドが増設されており、住民の負担軽減どころか負担増となっている状況と考えるが、住民の負担軽減に関する政府の現状認識を明らかにされたい。 また、北部訓練場の一部返還と新たなヘリパッドの提供は、完全にリンクするものであり、先行提供に併せて先行返還を行うべきであると考えるが、政府の見解を明らかにされたい。 二 現在、高江区の住民は、新たなヘリパッドの先行提供により、騒音被害や米軍機の飛行による危険に晒されている状況にある。一義的にはヘリパッドの建設工事を直ちに中止すべきであるが、こうした実際の住民への不利益を少しでも軽減するためには、要請書の十八項目の要望事業等が進められるべきである。政府の要望事業等の推進に関する認識を明らかにされたい。 また、実際にこれら要望事業等に着手している事例があれば、その進捗状況についても明らかにされたい。 右質問する。 |