質問主意書

第189回国会(常会)

質問主意書


質問第九六号

高速道路についての基本的認識に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十七年四月三日

山本 太郎   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   高速道路についての基本的認識に関する質問主意書

 二〇〇五年の旧道路関係四公団の民営化以来、十年が経過する。民営化当時は、旧道路関係四公団が抱えた四十兆円の有利子負債を確実に返済し、採算の合う高速道路は民営化会社が、合わない道路は限定して国が直轄で建設するとした。
 しかし、民営化後も国の関与は止まず、昨年の国会では、道路法等の一部を改正する法律を成立させ、四十五年間で完了するはずだった償還期限を、老朽化や更新管理対策費用を理由として十五年延ばし、現政策決定者が責任を取ることができない二〇六五年まで先送りをした。
 一方、日本各地で「ミッシングリンク」をキーワードとして、民営化会社や国直轄などによる高速道路計画が続行している。そこで以下、質問する。

一 国民の間では、高速道路のミッシングリンクの解消は必ずしも高速道路によって行わなくてもよいのではないかとの声もある。あらゆる物事にはメリットとデメリットがあるが、高速道路のミッシングリンクを、高速道路以外の一般国道が担うことによるメリットとデメリットにはそれぞれどのようなものがあるか、政府の見解を明確にされたい。

二 民営化会社が高速道路事業を実施するか、国が直轄で高速道路事業を実施するかの判断の分かれ目は費用対効果であるが、費用対効果は行政手続としてはどのような場、どのような段階で、誰が、どのように判断を行うとされているのか、明確にされたい。

三 前記二に関して、今日までに、費用対効果の検証の結果、変更又は断念した高速道路計画はあるか。ある場合には、事業名と費用対効果の内容を示されたい。

四 高速道路事業により社会的な影響を受ける地域や住民のニーズは、どのような場で吸い上げ、反映させるのか、またそのような手続は道路関係法でどのように位置付けられているのか、明確にされたい。

五 前記四に関して、今日までに、地域や住民の意見を反映させた結果、変更又は断念した高速道路計画はあるか。ある場合には、事業名と意見反映の内容を示されたい。

六 愛知県で開かれた二〇一〇年の生物多様性条約締約国会議では、二十項目にわたる愛知目標が定められ、目標三には「生物多様性に有害な補助金を含む奨励措置が廃止、又は改革され、正の奨励措置が策定・適用される」と定めている。高速道路事業においてこの目標を達成するための法改正や補助金制度の改正は行われたか、行われたとすれば、どのように行われたか、明確にされたい。

  右質問する。