質問主意書

第189回国会(常会)

質問主意書


質問第七八号

限定正社員の働き方と正社員との格差に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十七年三月十三日

小見山 幸治   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   限定正社員の働き方と正社員との格差に関する質問主意書

 現在、日本の雇用は「正社員」と「非正社員」に二極分化している。そんな中、多様な働き方を実現する為、二〇一三年六月十四日、「多様な正社員」(以下「限定正社員」という。)の普及・促進が、政府の成長戦略に位置付けられた。限定正社員は職種や勤務地、労働時間等を限定した上で、期間の定めのない雇用契約を結ぶという「正社員」と「非正社員」の中間的立場となる新たな働き方として、注目が高まっている。
 そこで、以下質問する。

一 二〇一三年四月一日に改正労働契約法が施行された。これにより、有期労働契約が繰り返し更新され通算五年を超えたときは、労働者の申込みにより、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換できることとなった。しかし、無期労働契約への転換を避けるため、五年を超える前に企業から雇止めを宣告される可能性もある。この点について政府の認識を示されたい。

二 小泉政権下において、労働者派遣法の改正が行われ、多くの国民に雇用の機会が与えられた。しかし、二〇〇八年のリーマンショックによる国際的な金融危機により、多くの派遣社員の職が失われ、大きな社会問題となった。限定正社員は、雇用期間の定めはないが、その職種や勤務地の支店、営業所がなくなれば職を失うことになる。再びリーマンショックのような経済不況に陥ったとき、派遣社員のみならず、限定正社員も職を失うことが考えられる。この場合の対策について政府の見解を示されたい。

三 雇用の基本は正社員である。限定正社員の採用が普及することで、正社員の雇用減少につながることはないのか。また、企業が悪用すれば、現在の正社員が限定正社員とされる恐れもある。これらの点について政府の見解を示されたい。

四 従来、民間企業では「総合職」、「一般職」という形で職種のすみ分けがされてきた。一般職も限定正社員と同じように、原則として職種や勤務地、労働時間が決められた上での採用である。しかし、一般職は女性の割合が高い等、実質男女の雇用管理として機能している事例が多く見受けられる。同様に、限定正社員も、昇進の機会が限られる、解雇されやすい等、今後正社員との新たな格差を生み出すことにつながらないのか、政府の見解を示されたい。

  右質問する。