質問主意書

第189回国会(常会)

質問主意書


質問第七七号

不動産投資信託等の適切な広告等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十七年三月十二日

藤末 健三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   不動産投資信託等の適切な広告等に関する質問主意書

 不動産投資信託や不動産特定共同事業など、不動産を投資対象として資金を募る金融商品(以下「不動産投資信託等」という。)は、不動産の開発等に必要な資金調達を円滑化するとともに、不動産に対する投資手法を多様化して投資機会を拡大するものであり、日本経済を支える重要なインフラの一つとなっている。
 その一方で、不動産投資信託等は、投資した元本が毀損する可能性があるなど、リスクが決して低くはない金融商品であるため、投資者が正確な知識の下で投資判断を行うことができるよう、政府・業界ともに健全な投資環境を整備していく責務がある。中でも、広告や広告類似行為(以下「広告等」という。)は、投資者への投資勧誘の導入部分であり、投資者が投資判断に当たって最初に接する情報源でもあるため、その内容は適切でなければならない。
 そこで、以下質問する。

一 インターネット上では、「元本保全」、「年七・〇%実績」、「年六回分配」、「過去元本割れ無しの安心の運用実績」などの表現を用いた不動産投資信託等の広告等が見られている。これらの表現は、不動産投資信託等に元本割れのリスクがないとの誤解を与えかねないものである。

1 不動産投資信託等の広告等については、金融商品取引法第三十七条第二項、不動産特定共同事業法第十八条第三項などの法令上の規定において、著しく事実に相違する表示や、著しく人を誤認させるような表示を行うことを禁止されている。
 前記一冒頭で挙げたような広告等が行われている場合、これらの規定に抵触するのではないか。また、広告等の規制以外に、勧誘に関する禁止行為等、法令上の他の規定で問題が生じ得るものがあれば、併せて示されたい。
2 投資信託及び投資法人に関する法律第二百三十条第一項では、投資法人の執行役員等が、投資口等を引き受ける者の募集をするに当たり、募集の広告で重要な事項について虚偽の記載があるものを行使した場合の罰則を定めている。
 投資法人が前記一冒頭で挙げたような広告等を行っている場合、この罰則の対象となるのではないか。

二 金融庁の監督指針では、広告等の規制についての監督手法・対応の中で、「日常の監督事務や、事故報告等を通じて把握された、金融商品取引業者の広告等に関する課題」を対象に、ヒアリングや法令の規定に基づく報告徴求等を行う方針が示されている。しかし、実際には、不適切な広告等について事前に監督当局が把握するものよりも、実際の被害が生じた後に、その被害者の申出を受けて監督当局が対応する事例が多いのではないかと感じている。
 金融庁、国土交通省を始めとした監督当局では、不動産投資信託等の広告等を監視する体制をどのように整備しているのか。

  右質問する。