質問主意書

第189回国会(常会)

質問主意書


質問第六四号

養護老人ホーム及び特別養護老人ホームに関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十七年三月四日

徳永 エリ   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   養護老人ホーム及び特別養護老人ホームに関する質問主意書

 養護老人ホーム及び特別養護老人ホームの経営が厳しい状況にあることを踏まえ、その財政等について、以下質問する。

一 平成十七年度に養護老人ホームの施設運営の措置費が国庫負担金から一般財源化されたことで、本来であれば養護措置が適当であると思われる人を介護保険扱いとするなど、措置権者である市町村の財政負担を減らすことが行われていると聞く。政府は、このような「措置控え」や介護への「付け替え」が生じていることを認識しているか。そのようなことがないように、国として市町村の財政負担を支援する必要があると考えるが、政府の見解を示されたい。また、地方交付税では他の使途との関係で措置費への充当が不十分になるので、措置費への充当が確実な国庫負担金の形に戻すことも一案と考えるが、政府の見解を問う。

二 前記一に関連して、一般財源化に伴い、養護老人ホームの老人保護措置費支弁基準(以下「措置費支弁基準」という。)の改定は市町村に任されたため、その後改定は必ずしも十分には行われていないと聞く。例えば、平成二十六年四月に消費税率が引き上げられた際には、「適切な改定をお願いする」旨の厚生労働省老健局高齢者支援課の事務連絡が地方自治体宛に送られただけである。一般財源化後、市町村において措置費支弁基準の改定はどのくらい行われているか、政府の承知するところを示されたい。また、国は消費税率引上げに対応して、措置費支弁基準を改定できるように市町村に何らかの目安等を示すべきであり、さらに必要な支援を行うべきと考えるが、政府の見解を問う。

三 地方自治体では、給与体系が一般職、技能労務職と階級的に分けられている。養護老人ホームの施設職員のうち支援員職は技能労務職とされており、給与基準の位置付けが低い。しかし、介護福祉士は国家資格であり他の職種と同じく高度な知識が必要なため、格差を設けることはおかしいと考える。格差をなくし、支援員職の給与基準を引き上げるべきではないか、政府の見解を問う。

四 養護老人ホームは、多様な方々が入所しており、支援対応には時間を要するにもかかわらず、現状では職員のうち支援員の配置基準は十五対一とされている(養護老人ホームの設備及び運営に関する基準(厚生労働省令))。十分な支援対応ができるように、支援員の配置基準を手厚くする方向で改定すべきではないか、政府の見解を問う。

五 社会福祉法人は措置費などの収入と寄付金で運営されており、施設整備を行うにしても補助金メニューや補助金額の減少により財源確保が困難となっている。繰越金額が措置費の年間総額の三割と制約されており、施設整備資金の確保は厳しい。今後、施設の老朽化が進んでも、改築などには今以上に厳しい環境が考えられる。老朽化に伴う改築などのための施設整備資金が確保できるように、繰越金額の割合の上限を変更すべきではないか、政府の見解を問う。

六 特別養護老人ホームの入所者の入院について、三か月以内に退院することが見込まれる時は退院後円滑に再入所できるようにしなければならないと特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準(厚生労働省令)で規定されている。当該ベッドをショートステイ等で利用することは可能だが、特別養護老人ホームの側からすると基本的にベッドを空けておくことになり減収となる。当該入所者の権利を保護しつつも、ベッドの有効活用を進めるためより柔軟な対応を考えることはできないのか、政府の見解を問う。

  右質問する。