質問主意書

第189回国会(常会)

質問主意書


質問第六〇号

タクシー政策と規制改革会議に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十七年三月三日

櫻井 充   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   タクシー政策と規制改革会議に関する質問主意書

 平成十四年の道路運送法及びタクシー業務適正化臨時措置法の一部を改正する法律の施行によりタクシー事業が規制緩和されたことで各社の増車が相次ぎ、供給過剰とみなすべき状態が生じることが多くなった。運転手の労働条件は悪化し、交通事故件数が増える事態となったこともあり、平成二十一年の通常国会において特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適性化及び活性化に関する特別措置法(以下「タクシー特措法」という。)が全会一致で可決され成立するところとなった。しかし、同法が施行された後も制定当初に期待されたほどの政策効果が出なかったこともあり、タクシー利用の安全性やサービス水準を更に向上させるための制度の在り方について議論を重ねてきた自民党タクシー・ハイヤー議員連盟と公明党国土交通部会、さらには民主党タクシー政策議員連盟の間で平成二十五年六月にタクシー特措法などの改正を盛り込んだ議員立法の方針が合意された。この合意に基づき、同年十月末に三党の衆議院議員によるタクシー特措法等の一部を改正する法律案が国会に提出され、衆参両院での審議の後に、圧倒的多数で可決・成立した。
 タクシーは公共交通の役割を担っており、過度な規制緩和は国民の生活を危険に晒すと考えている。しかしながら、現場の状況を理解していない規制改革会議が大きな影響力を持っている現状には大きな問題があると考えている。
 そこで、以下質問する。

一 タクシー業界における新規参入や増車に関する規制緩和により、乗務員が過度な低賃金で勤務せざるを得ないような状況に追い込まれている現状は当初の政府の想定通りであったのかどうか、「はい」又は「いいえ」で示されたい。

二 平成二十六年六月、規制改革会議は「改正タクシー特措法の特定地域に係る指定基準に関する意見」において、「国交省の指定基準案を適用した場合、「地域の意向」の指標によっては、日本中の約6割のタクシーに特定地域の規制が及ぶことになり、裁量権の逸脱は明らかである」と述べている。裁量権の逸脱は明らかなのか、政府の見解を明らかにされたい。

三 規制改革会議は特定地域の指定基準について、憲法第二十二条第一項に規定する営業の自由を不当に制限することを危惧していると述べているが、これに対する政府の見解を明らかにされたい。

四 国会で審議された結果圧倒的多数で可決・成立した法律に対して、規制改革会議が述べた意見に基づき行政が対応する場合には、その根拠を明らかにされたい。また、対応するとなると、政府が立法府を無視しているものと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

五 国土交通省が策定した改正タクシー特措法の特定地域指定基準案によると、「30万人以上の人口」という要件がある。この要件により、本当に特定地域指定が必要な地域が指定を受けられない可能性があると考えているが、政府の見解を明らかにされたい。また、「30万人以上」の数的根拠を明らかにされたい。

六 本年一月、国土交通省が準特定地域における適正車両数の確定値を発表している。適正車両数の上限と下限の算定方法を明らかにされたい。また、その算定方法により適正な車両数を計算できると考えた根拠を明らかにされたい。

七 前記六に関して国土交通省は、平成二十五年度末の車両数や総実車キロ数、直近五年間平均の実車率等に基づいて適正車両数を算定している。しかし、例えば東北地方であれば震災復興のための来県人数が増えたことで特需があったように、平成二十五年度末の車両数や総実車キロ数、直近五年間平均の実車率等は現在の市場環境を反映しているとはいえず、実態と大きな乖離が生じていると考えているが、政府の見解を明らかにされたい。

八 前記六に関して適正車両数を設定する上で、地域の実態についてヒアリングや現地調査等を行ったのか明らかにされたい。また、ヒアリングや現地調査等を行ったのであれば具体的にどのように数字に盛り込んだのか明らかにされたい。もし、ヒアリングや現地調査等を行っていないのであれば、「適正」であるかどうか判断できないと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

  右質問する。