質問主意書

第189回国会(常会)

質問主意書


質問第五〇号

ISILのような国家以外の主体から武力攻撃を受けた場合の自衛権等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十七年二月二十六日

櫻井 充   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   ISILのような国家以外の主体から武力攻撃を受けた場合の自衛権等に関する質問主意書

 二〇一五年二月一日、安倍総理はISILによって後藤健二さんが殺害された後に「非道、卑劣極まりないテロ行為に、強い怒りを覚えます。許しがたい暴挙を、断固、非難します。テロリストたちを絶対に許さない。その罪を償わせるために、国際社会と連携してまいります。」との声明(以下「総理声明」という。)を出した。私もISILによる非道な行為に関して大変な憤りを感じている。
 ISILのような国家以外の主体に対する自衛権等について明らかにしたいため、以下質問する。

一 「テロリスト」及び「テロ行為」について国際法において明確な定義はないことは承知しているが、総理声明における「テロリスト」及び「テロ行為」の定義を明らかにされたい。

二 我が国が他国から武力攻撃を受けた場合は個別的自衛権を発動することとなる。今回、ISILは「日本が標的となった」旨の発言を行ったが、我が国の領土に対しISILのような国家以外の主体から武力攻撃を受けた際は個別的自衛権を発動することとなるのか、政府の見解を明らかにされたい。もし、個別的自衛権を発動することが不可能である場合は「不可能である」と明確に示されたい。

三 我が国の領土内でISILのような国家以外の主体による「テロ行為」がなされた場合、国際法上の武力攻撃となり得るのか明らかにされたい。

四 ISILのような国家以外の主体に対し個別的自衛権を行使することが可能である場合、その要件について、政府の見解を明らかにされたい。さらに、他国に対し個別的自衛権を行使する場合と国家以外の主体に対して個別的自衛権を行使する場合とでは、行使する際の法的な手続に相違点があるのか、具体的に明らかにされたい。

五 「宣戦布告」の定義を明らかにされたい。その上で、本年二月十二日に公開されたISILが発行するインターネット機関誌では「全ての日本の国民はどこでも見つけ次第、標的となる」などと日本を敵対視する姿勢を明確にしているが、これは国際法における宣戦布告に当たるのか明らかにされたい。また、ISILのような国家以外の主体による宣戦布告はあり得るのか明らかにされたい。あり得る場合はどのような発言をもって宣戦布告とみなすのか明らかにされたい。

六 総理声明にあった「罪を償わせる」とは具体的にいかなる行動を表すのか。特に、この文言は武力行使の可能性も含んだ表現であるのか明らかにされたい。

七 前記六に関して、「罪を償わせる」という表現は宣戦布告に当たるのか否か明確に示されたい。

  右質問する。