質問主意書

第189回国会(常会)

質問主意書


質問第四六号

難民認定申請に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十七年二月二十六日

中西 健治   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   難民認定申請に関する質問主意書

 平成二十五年における我が国の難民庇護の状況は、難民認定申請数三千二百六十人、難民の認定をしない処分に対する異議申立て数二千四百八人である一方、難民と認定した者が六人、人道的な配慮が必要なものとして在留を認めた者が百五十一人というものである。
 これに対して、平成二十四年における諸外国の難民認定数は、米国二万五千二百六十八人、英国八千七百二十七人、ドイツ八千七百六十四人、フランス三千百三十三人である。諸外国と比べて少ない我が国の難民認定数に対して、我が国の難民認定手続の公平性・透明性に問題があるのではないかとの指摘がなされている(平成二十六年十二月第六次出入国管理政策懇談会・難民認定制度に関する専門部会「難民認定制度の見直しの方向性に関する検討結果(報告)」(以下「検討結果」という。)二頁)。
 他方で、我が国の難民認定申請数は、平成十七年には三百八十四人であったものが、平成二十六年には暫定で五千人(読売新聞平成二十七年二月四日付け朝刊)と、九年で十三倍近くに急激に増加している。
 なかでも、申請時に正規の在留資格を有する者からの申請の増加が特に顕著に認められており、平成十七年には百九人であったものが、平成二十六年は十一月末時点において約三千七百人と急激な伸びを見せている(検討結果五頁)。
 この背景には、「平成二十二年三月に、正規在留者である申請者に対し、申請から六か月が経過すれば、申請中は就労活動が可能な在留資格を一律に付与する取扱いとしたことが一因としてあり、(中略)一回の審査期間が異議審を含めて三年程度かかる現状では、申請さえ続けていれば、長期間日本で就労が可能であると受け止める申請者が相当数存在する。」との指摘がなされている(検討結果十二頁)。
 平成二十六年十一月には、この制度を逆手に取り、来日したネパール人百人程度に難民認定の偽装申請を指南し就労させていたとして、ネパール人のブローカーが出入国管理及び難民認定法違反(不法就労助長)容疑で摘発されていたことが明らかとなった(読売新聞平成二十七年二月四日付け朝刊)。
 難民の受入れは、国際社会における我が国の重要な責務であり、真の難民を確実に庇護するために、制度・運用の見直しを含めた様々な取組を推進することが必要である。
 そこで、以下質問する。

一 法務大臣による「難民である旨の認定」(出入国管理及び難民認定法第六十一条の二第一項)は、覊束行為か。

二 難民の要件である「人種、宗教、国籍若しくは特定の社会的集団の構成員であること又は政治的意見を理由に迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有する」(難民の地位に関する条約第一条A(二))の意義をいかに解するか、政府の見解を明らかにされたい。

三 諸外国と比較して我が国の難民認定者数が少ない原因をいかに分析しているか、政府の見解を明らかにされたい。

四 いかなる基準で、難民と認定しないものの人道的な配慮が必要な者として在留を認めているのか、政府の見解を明らかにされたい。

五 政府は、難民認定申請数の急増の一因と指摘されている難民認定申請中の者に対する就労許可の在り方を見直すつもりはあるか。仮に見直す場合、いかなる在り方を模索するのか、政府の見解を明らかにされたい。

六 政府は、難民認定申請数の急増の一因と指摘されている審査期間(異議審を含めて三年程度)の迅速化に取り組む意思はあるか。仮に迅速化に取り組むとした場合、どのくらいの期間を目標とするか。また、いかにして迅速化を図るのか、政府の見解を明らかにされたい。

  右質問する。