質問主意書

第189回国会(常会)

質問主意書


質問第三五号

日本銀行の量的・質的緩和に関する再質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十七年二月十九日

大久保 勉   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   日本銀行の量的・質的緩和に関する再質問主意書

 私が提出した「日本銀行の量的・質的緩和に関する質問主意書」(第百八十九回国会質問第一五号)に対する答弁書(内閣参質一八九第一五号)に疑義があるため、再度、以下のとおり質問する。

一 「財政ファイナンス」とはどのような状況を指すのか、政府の見解を示されたい。また、財政ファイナンスを中央銀行が行う状況が発生した場合には、政府はそのことを中止させることができるのか、日本銀行の独立性の観点を踏まえ、見解を示されたい。

二 現在の日本銀行の金融政策は、財政ファイナンスの状況にあるか。また、日本銀行が国債保有残高を毎年八十兆円積み増し続けるという量的・質的金融緩和政策を長期間続けた場合、財政ファイナンスに陥るリスクが発生すると考えるか、政府の見解を示されたい。

三 日本銀行が、これまでに発行されている国債の全てを保有する状況は、財政ファイナンスといえるか、政府の見解を示されたい。

四 ブルームバーグ社によると、日本銀行による保有分を除く国債の発行残高は、足元で約六百十六兆円とのことである。また、政府が平成二十八年度以降も平成二十七年度と同じ百二十六兆四千億円ずつ長期国債を発行し、日本銀行が保有残高を年間約八十兆円に相当するペースで増加するよう買入れを行い続けると仮定すると、市中残高が償還分も含めて毎年約五十二兆円ずつ減少することにより、日本銀行以外の保有額は、平成三十八年度中にゼロになるという試算がなされている。日本銀行の国債保有比率は、昨年九月で約二十三パーセントであり、平成三十八年度中に百パーセントに達するとの試算であるが、この間、線形で保有比率が上昇すると、財政ファイナンスの疑義を増すことになると考える。この対策として、長期国債の発行金額を増加させ、日銀の保有比率を低下させる政策を政府が行うべきと考えるのか、若しくは日本銀行の国債購入金額がこの期間中に減少すべきと考えるのか、政府の見解を示されたい。

五 昨年十一月に開催された第五十八回国債市場特別参加者会合の議事要旨によれば、「中央銀行が発行される国債の大半を購入する状況は正常ではなく、市場の価格発見機能及び流動性が低下する中、市場は外的ショックに対して脆くなっている面があるものと思う」との意見が述べられたとされている。発行される国債を日本銀行が直接に引き受けているわけではないとはいえ、その大半を購入している状況について、国債の市場機能や流動性が適切に担保されていると考えているのか、発行体である政府の見解を示されたい。

六 政府は、国債の発行体として、国債に対する投資家の多様化に適切な政策を講じてきたのか。個人及び外国人の国債保有比率の低迷に対する評価も含め、政府の見解を示されたい。

七 政府は、ドル建て、ユーロ建て等、他国通貨建てによる国債発行の可能性を常々否定している。国債保有者の多様化及び日本銀行以外による国債安定消化の必要性の観点を踏まえ、政府の見解を示されたい。

  右質問する。