質問主意書

第189回国会(常会)

質問主意書


質問第二三号

ふるさと納税に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十七年二月十二日

江口 克彦   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   ふるさと納税に関する質問主意書

 平成二十一年度に地方公共団体に対する寄附金の所得税・住民税の控除制度(いわゆる「ふるさと納税制度」)が制度化された。右の点を踏まえ、以下質問する。

一 ふるさと納税制度はそもそもどのような趣旨で創設されたのか。

二 平成二十一年度以降のふるさと納税の実績はどのように推移しているか。また、その傾向をどのように分析しているか。

三 寄附金を受けた地方公共団体が、返礼品を贈ることについて、政府の見解を明らかにされたい。特に、最近では各地方公共団体が競い合うように豪華な返礼品を贈っているが、このことはふるさと納税制度の趣旨に沿うものと考えているのか。

四 「ふるさと」とは一般的には各個人の出身地を指すことが多いと考えられるところ、最近では豪華な返礼品を入手することを目的として出身地以外の地方公共団体に対して寄附を行う事例も多いと推察する。政府は、この点に関する実態を調査しているのか。調査を行っている場合には、その実態を明らかにされたい。実態調査をしていないとすれば、その理由を明らかにされたい。

五 豪華な返礼品の入手を目的とする出身地以外の地方公共団体に対する寄附は、ふるさと納税制度の趣旨に沿うものと考えているのか。

六 平成二十七年度政府税制改正大綱では、ふるさと納税について、ワンストップ特例制度の創設といった手続の簡素化や控除額の拡充が盛り込まれる一方、「寄附金が経済的利益の無償の供与であること」等を踏まえ、地方公共団体に対し「ふるさと納税に係る周知、募集等の事務を適切に行うよう」要請するとしている。
 これは、ふるさと納税制度の趣旨に沿った利用の一層の活性化を図りつつも、政府としては、現在行われている豪華な返礼品は、ふるさと納税の本来の趣旨を逸脱していると考え、良識ある対応を求めているという理解でよいか。また、どの程度の返礼品であれば趣旨を損なわないものと考えているのか。加えて、政府としては、返礼品について良識ある対応となるようにするために、具体的にどのような施策を講ずるのか示されたい。

七 公職の候補者等は、公職選挙法第百九十九条の二により選挙区内あるいは選挙の行われる区域内にある者に対するいかなる寄附も禁止されているところ、全都道府県の区域を通じて選挙する参議院比例代表選出議員の候補者等は、いかなる地方公共団体に対してもふるさと納税を行うことができないということになるのか。他方、その他の国会議員選挙の候補者等が、自身の選挙区に属さない地方公共団体に対してふるさと納税を行うことは可能であるのか。

八 自然災害が頻発するなか災害復興の加速化が叫ばれ、また、地方創生が重要な政策課題となっている今日、選挙区内あるいは選挙の行われる区域内に属する地方公共団体に対して「災害復興」のために行う寄附や地方活性化のために行うふるさと納税については、公正な選挙の実施への影響、寄附の要請のエスカレートによる弊害の防止等に十分留意しつつも、公職選挙法第百九十九条の二の例外として許容することを検討してもよいと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。
 検討が難しいとすれば、その理由を具体的に示されたい。

  右質問する。