質問主意書

第189回国会(常会)

質問主意書


質問第一九号

日本銀行の量的・質的緩和が地域金融機関へもたらす影響に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十七年二月五日

大久保 勉   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   日本銀行の量的・質的緩和が地域金融機関へもたらす影響に関する質問主意書

 アベノミクスの「第一の矢」とされる、日本銀行の量的・質的緩和により、短期金利のみならず長期金利もゼロパーセントに近い水準となっている。これが地方銀行、第二地方銀行、信用金庫及び信用組合(以下「地域金融機関」という。)の経営に対する圧迫要因となっているとの指摘がある。
 この点に関し、以下質問する。

一 平成二十四年三月末、平成二十五年三月末及び平成二十六年三月末のそれぞれの時点で、総資金利ざや(貸出金利等の資金運用利回りから預金金利等の資金調達原価を減じたもの)がマイナスとなった機関数を、地域金融機関のそれぞれの業態別に示されたい。また、本年三月末に、地域金融機関の半期決算等の情報やそれらの機関を取り巻く経営環境から総合的に判断して、総資金利ざやがマイナスとなる機関数が増加傾向にあるか否か、政府の見通しを地域金融機関のそれぞれの業態別に示されたい。

二 中期及び長期の国債の金利が、現状のようにゼロパーセント近傍である水準が長期間にわたり維持されるとすれば、預証率(預金残高に対する有価証券運用残高の割合)の高い地域金融機関の総資金利ざやに、どのような影響を与えるのか、政府の見解を示されたい。

三 日本銀行の量的・質的緩和の継続及び住宅ローンをめぐる金融機関の過剰な競争等により、住宅ローンの貸出金利が大幅に低下していることも総資金利ざやの低下要因と考えるが、政府の見解を示されたい。

四 総資金利ざやの長期的低下、さらにはマイナス化により、地域金融機関の財務内容が悪化し、中小企業への貸出し等、地域金融機関が本来担うべきリスクテイク機能が低下しているとの指摘がある。この点に関し、政府の見解を示されたい。また、地域金融機関のリスクテイク機能が低下している場合、アベノミクスの第一の矢が地方における中小企業金融機能を低下させ、それにより地方創生の可能性を減じているとも考えるが、政府の見解を併せて示されたい。

五 超低金利下における、総資金利ざやの改善と地域金融機関の存続可能性を担保するために、どのような政策が必要と考えるか、政府の見解を示されたい。特に、①マイナスの預金金利(預金手数料等を含む)の導入、②住宅ローンの貸出金利に金利リスク・与信リスクを盛り込んだ適正マージン付与の義務付け、③地域金融機関の統廃合政策の実施の三点の施策に対する政府の見解も併せて示されたい。

六 量的・質的金融緩和の長期化により、地域金融機関の度重なる経営破綻等の金融システム不安が認められた場合、二パーセントの「物価安定の目標」が安定的に持続するために必要な時点以前に、量的・質的金融緩和政策を変更することが望ましいと考えるか、日本銀行の金融機関への考査権限付与の目的との関係を踏まえ、政府の見解を示されたい。

  右質問する。