質問主意書

第189回国会(常会)

質問主意書


質問第一四号

海外広報活動に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十七年二月二日

浜田 和幸   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   海外広報活動に関する質問主意書

 海外広報活動に関して、以下質問する。

一 昨年十一月に日中両政府が発表した四項目の「合意文書」に関し、中国側が日本側より数時間早く英訳文を公表した。欧米メディアは、意訳の目立つこの英訳文をもとに報道し、「中国の考え」が随所に反映された内容が世界に報じられる結果となった。日中両政府はそれぞれ日本語と中国語で合意文書を同時発表したが、英訳の扱いに関する事前の取決めはなかったとされる。国際報道は実質的に英語が標準言語であり、合意文書を作成する段階で英語版も作成するのが常識的対応と考えるが、今後、英語圏以外の国と合意文書を作成する際に、英訳文を同時に作成する考えはあるのか。なければ、今後同様の問題が生じた場合にどのように対処していくのか、政府の見解を示されたい。

二 通常、報道機関は大筋の事実が正しければ細目の訂正はしない。こうした特徴を理解した上で、正しい事実を伝えることが国際間の誤解や立場の違いを生じさせないための必須条件である。しかし、尖閣諸島の領有権や日本海の呼称などのメディア戦略に関して、我が国は中国や韓国に翻弄されているのが実態である。従軍慰安婦の強制連行に関する朝日新聞の誤報訂正についても、国際社会に周知されているとは言い難く、米国や豪州の慰安婦像は撤去される気配もない。米国の大手教育出版社「マグロウヒル」の教科書には、慰安婦問題について「日本軍が十四から二十歳の二十万人の女性を強制的に募集した」、「日本軍は天皇からの賜物であるとして、女性を提供した」など事実とは明らかに異なる内容が記述されている。日本の領土や誇りに関わる問題だけに、政府見解やホームページによる告知だけでなく、より効果的な広報活動が外交戦略の一環として求められる。海外におけるロビー活動や広告の活用について、過去、どの媒体にいくらの予算を投じたのか。また、その効果をどのように検証してきたのか示されたい。

三 政府には、歴史的事実や日本の基本的立場を国際的にアピールするための新たな具体的戦略があるのか。あれば、その内容を示されたい。

四 世界に展開するジャパン・ハウス(仮称)の立地場所の選定やスタッフの採用基準を示されたい。また、そうした活動を効果的にPRするための広報戦略をどのように検討しているのか、具体的に示されたい。

  右質問する。