質問主意書

第188回国会(特別会)

答弁書


答弁書第一一号

内閣参質一八八第一一号
  平成二十七年一月九日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員藤田幸久君提出年金積立金管理運用独立行政法人における年金積立金の運用に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員藤田幸久君提出年金積立金管理運用独立行政法人における年金積立金の運用に関する質問に対する答弁書

一について

 御指摘の①の場合における年金積立金管理運用独立行政法人(以下「GPIF」という。)の積立金の運用のシミュレーション結果については、経済中位ケース(平成二十六年十月に行われたGPIFの基本ポートフォリオの変更を含む中期計画の変更(以下「基本ポートフォリオの変更」という。)の際に示された経済中位ケースをいう。)の場合には、財政検証における平成五十一年の予定積立金額が約百八十・八兆円であるのに対し、積立金見込額の中央値が約百五十・二兆円であり、また、市場基準ケース(基本ポートフォリオの変更の際に示された市場基準ケースをいう。)の場合には、財政検証における平成五十一年の予定積立金額が約百二十九・一兆円であるのに対し、積立金見込額の中央値が約百二十三・三兆円である。
 御指摘の②及び③の場合における積立金の運用のシミュレーション結果については、御指摘の場合の比率に基づくシミュレーションを行っていないため、直ちにお答えすることは困難である。
 また、御指摘の①から③までの場合における実質的な運用利回り(運用利回りから賃金上昇率を控除したものをいう。)は、GPIFの試算によれば、いずれも一・七パーセントを下回っている。

二について

 管理運用主体(被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律(平成二十四年法律第六十三号)第一条の規定による改正後の厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号。以下「新厚生年金保険法」という。)第七十九条の四第二項第三号に規定する管理運用主体をいう。以下同じ。)は、新厚生年金保険法第七十九条の五第一項の規定により、新厚生年金保険法第七十九条の四第一項に規定する積立金基本指針に適合するよう、共同して、モデルポートフォリオ(管理運用主体が基本ポートフォリオを定めるに当たって参酌すべき積立金の資産の構成の目標をいう。)を定めなければならないこととされており、現在、そのための検討が行われているところであると承知している。

三について

 年金積立金の運用は、厚生年金保険法第七十九条の二及び国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)第七十五条の規定において、専ら被保険者の利益のために行うこととされており、御指摘の発言は、専ら被保険者のために行う年金積立金の運用が、結果的に成長への投資、ひいては日本経済に貢献し、経済の好循環実現にもつながる旨を述べたものである。
 GPIFにおいては、今後も引き続き、厚生年金保険法等の規定に基づき、専ら被保険者の利益のための運用が行われるものと承知している。

四について

 御指摘の平成二十六年十月三十日の衆議院予算委員会における塩崎厚生労働大臣の答弁は、市場における債券の運用を行っていない米国の公的年金について、市場で運用しているGPIFとそのまま比較することは不適切であることから、市場運用していない旨を述べたものである。他方、御指摘の平成二十五年十一月二十七日の衆議院厚生労働委員会においての田村前厚生労働大臣の答弁は、米国の公的年金は、市場における運用を行っていないことを前提にしたものであり、「塩崎厚生労働大臣と田村前厚生労働大臣の答弁に齟齬が生じた」との御指摘は当たらないものと考えている。