質問主意書

第187回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第九二号

内閣参質一八七第九二号
  平成二十六年十一月二十五日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員福島みずほ君提出川内原発火山審査に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員福島みずほ君提出川内原発火山審査に関する質問に対する答弁書

一について

 御指摘の「審査書(案)に対する御意見への考え方」に記載されているとおり、「一つの知見がすべての火山に適用可能とは考えて」おらず、「様々な知見に基づいて総合的に評価していくことが重要と考えて」いる。

二の1について

 原子力発電所の火山影響評価ガイド(平成二十五年六月十九日原子力規制委員会決定。以下「火山影響評価ガイド」という。)において、「原子力発電所の運用期間とは、原子力発電所に核燃料物質が存在する期間とする。」と定義されている。原子力発電所に核燃料物質が存在する期間については、核燃料物質を搬出する期間を一概に見積もることはできないため、九州電力株式会社川内原子力発電所(以下「川内原子力発電所」という。)の発電用原子炉の設置変更許可に係る申請(以下「設置変更許可申請」という。)に関する審査では具体的な数値を置いていないが、一般論としては、原子力発電所に核燃料物質が運び込まれてから、原子力発電所の運転を終了し、核燃料物質の搬出の完了までに要する期間は数十年程度であると考えられる。

二の2、四の4及び五の3について

 「原子力施設における火山活動のモニタリングに関する検討チーム」は、平成二十六年八月二十日に原子力規制委員会で了承された「原子力施設における火山活動のモニタリングに関する検討チームについて(案)」で示しているとおり、「原子力規制委員会としての対応に資する火山学上の知見や考え方を整理するため」に設けているものであり、川内原子力発電所固有の事項について検討を行うためのものではない。

二の3について

 お尋ねの「この研究成果について、原子力規制委員会は検討したのか」の意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の研究成果については承知している。なお、御指摘の研究成果は、日本全国における巨大カルデラ噴火の発生確率を算出しているものであり、個別の火山の噴火確率について言及しているものではない。

二の4及び五の1について

 川内原子力発電所の設置変更許可申請に係る審査において、九州電力株式会社(以下「九州電力」という。)は、地下のマグマの状況や過去の噴火履歴等を検討し、川内原子力発電所の運用期間中において、噴火の規模を噴出物の総体積に基づき指数化した火山爆発指数七以上の噴火が生じる可能性は十分小さいと評価しており、原子力規制委員会はこれを妥当であると判断している。

三の1及び八の3について

 日本火山学会の提言は、直ちに火山影響評価ガイドの見直しを求める内容ではないと理解している。

三の2について

 「大規模火山災害対策への提言」(平成二十五年五月十六日広域的な火山防災対策に係る検討会)が公表されたのは、火山影響評価ガイドに対する意見募集の意見提出期間終了後であり、火山影響評価ガイドの策定に当たり当該提言についての検討は行っていない。当該提言を踏まえて火山影響評価ガイドを見直す必要があるとは考えていないが、原子力規制委員会としては、安全性の追求に終わりはなく、継続的な安全性の向上が重要であり、安全研究の推進による新たな知見の収集と火山影響評価ガイド等の継続的な改善に努めていく必要があると考えている。

四及び四の1から3までについて

 御指摘の「本件論文の事例をそのまま姶良カルデラにあてはめたものである」の意味が必ずしも明らかではないが、九州電力から平成二十六年十月八日に提出のあった「川内原子力発電所原子炉施設保安規定変更認可申請書の補正について」(以下「保安規定変更認可申請書の補正」という。)によれば、九州電力は、対象火山の選定、対象火山の状態に応じた監視レベルの設定、監視レベルの移行判断基準の設定、評価方法等を含めた火山活動のモニタリングのための活動の手順を策定するとしている。現在、それらについて説明を受け、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和三十二年法律第百六十六号)第四十三条の三の六第一項第四号の規定に基づき定められている実用発電用原子炉及びその附属施設の位置、構造及び設備の基準に関する規則(平成二十五年原子力規制委員会規則第五号)等(以下「新規制基準」という。)に係る適合性審査を実施中である。

五の2について

 火山活動のモニタリングを含む原子力発電所の安全性については、第一義的には原子力事業者が責任を負うべきである。

六の1、7及び10について

 原子力発電所内の核燃料の搬出に要する具体的な期間については、例えば、輸送するために必要な使用済燃料の冷却期間は燃料体の種類、燃料体の状態、輸送容器の仕様等により異なり、また、どのような仕様を選択するかは事業者の判断によるため、一概にお答えすることは困難である。

六の2及び4から6までについて

 保安規定変更認可申請書の補正によれば、九州電力は、破局的噴火への発展の可能性がある場合に備え、燃料体等の搬出等に係る貯蔵方法に関すること、輸送方法に関すること及び体制に関することについて事前に検討を行うとしており、また、破局的噴火への発展の可能性があると評価された場合において、燃料体等の搬出優先順位、貯蔵方法の選定・調達、輸送方法の選定・調達及び体制の確立を含めた燃料体等の搬出等の計画を策定するなどとしている。現在、それらについて説明を受け、新規制基準に係る適合性審査を実施中である。

六の3について

 火山影響評価ガイドでは、「個別評価により運用期間中の火山活動の可能性が十分小さいと評価した火山であっても、設計対応不可能な火山事象が発電所に到達したと考えられる火山に対しては、噴火可能性が十分小さいことを継続的に確認することを目的として運用期間中のモニタリングを行う。」こととしており、モニタリングにより、火山活動の兆候を把握した場合の対処方針等を定めることとしている。また、川内原子力発電所の設置変更許可申請では、九州電力は、そのような場合の対処として、原子炉の運転の停止、燃料体等の搬出等を実施する方針としており、火山影響評価ガイドを踏まえていることを確認している。したがって、「火山影響評価ガイドの要求にも反する」との御指摘には当たらない。

六の8について

 平成二十六年九月三十日の鹿児島県議会原子力安全対策等特別委員会における九州電力の説明の内容については承知をしていないため、お答えすることは困難である。

六の9について

 九州電力による岩石学的調査について、具体的な進捗状況は把握していないが、新しい知見の収集の一環として検討を行っていくものと認識しており、新規制基準に係る適合性審査の一環として行われるものではない。

六の11について

 御指摘の「会見補足資料」のとおり、「放射能の漏洩」に対処する方法については、遠くに運ぶということに限らず、様々な工夫ができる旨を述べたものであり、火山影響評価ガイドに反していることを述べたものではない。

七の1及び2について

 姶良カルデラの現在の活動状況を踏まえ、火山灰については、桜島薩摩噴火によるものが川内原子力発電所の敷地において最も影響が大きいと評価している。その上で、地質調査では、敷地に火山灰が認められないが、シミュレーション結果よりも保守的に降灰量を十五センチメートルと設定している。

七の3並びに八の1及び2について

 九州電力は、川内原子力発電所の設置変更許可申請において、モニタリングにより火山活動の兆候を把握した場合の対処として、原子炉の運転の停止、燃料体等の搬出等を実施する方針としている。また、保安規定変更認可申請書の補正によれば、九州電力は、破局的噴火への発展の可能性がある場合に備え、燃料体等の搬出等に係る貯蔵方法に関すること、輸送方法に関すること及び体制に関することについて事前に検討を行うとしており、また、破局的噴火への発展の可能性があると評価された場合において、燃料体等の搬出優先順位、貯蔵方法の選定・調達、輸送方法の選定・調達及び体制の確立を含めた燃料体等の搬出等の計画を策定するなどとしている。現在、それらについて説明を受け、新規制基準に係る適合性審査を実施中である。
 御指摘の「社内規定」の公開については、政府としてお答えする立場にない。

八の4について

 工事の計画の認可に係る申請及び保安規定の変更の認可に係る申請に関する処分にあたり、意見募集の実施及び公聴会の開催は、現時点において予定していない。