質問主意書

第187回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第九〇号

内閣参質一八七第九〇号
  平成二十六年十一月二十五日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員大久保勉君提出日本芸術院及び公益社団法人日展の改革の進展に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員大久保勉君提出日本芸術院及び公益社団法人日展の改革の進展に関する質問に対する答弁書

一について

 平成二十五年十二月五日付けの公益社団法人日展第三者委員会報告書(以下「第一次報告書」という。)においては、公益社団法人日展(以下「日展」という。)が主催する日本美術展覧会の平成二十一年の篆刻部門の審査において「会派別入選者数を前年度通りにするとの事前配分があったと評価しうる」等とされていると承知しており、こうした点については、遺憾であると認識している。日展は、平成二十六年七月二十八日に、第一次報告書及び平成二十六年三月二十四日付け日展第二次第三者委員会報告書(以下「第二次報告書」という。)において提案された再発防止策等を踏まえた改革案(以下「改革案」という。)を取りまとめており、これに従い、組織運営や日本美術展覧会の審査体制等についての改革を進めているところであると承知している。

二の1について

 お尋ねの日展の内部の調査委員会の設置については、篆刻部門の審査における顧問の介入の有無に関する事実関係の確認は客観的に行われるべきであり、適切ではなかったものと認識している。

二の2について

 お尋ねについては、日展が、第一次報告書、第二次報告書及び改革案を踏まえつつ、国民から信頼される組織となるよう、日展において、適切な対応が行われる必要があると考えている。

三について

 改革案は、日展において、公認会計士、美術評論家等の外部有識者の専門的かつ客観的な意見に基づいて、第一次報告書及び第二次報告書において提案された再発防止策を踏まえつつ検討を実施し、取りまとめられたものと承知しており、日展が国民から信頼される組織となるための改革に資するものと評価している。また、改革案の実施状況については、随時、日展からの報告等を求めているところであり、現時点で、改革案が「全体として適切に適用されている」か否かについてお答えすることは困難である。

四の1及び2について

 文化庁としては、日展が主催し、我が国を代表する美術展である日本美術展覧会の審査員の経験者(以下「審査員経験者」という。)には、まずは、責任を持って日展の組織運営や日本美術展覧会の審査体制等の改革に取り組むことが求められると考えている。このため、平成二十六年八月二十五日に、文化庁長官から日本芸術院長に対し、日展においてその改革が確実に実施され、国民から信頼される組織となったことが日展からの報告により確認できるまでの間は、日本芸術院会員の候補者の選考対象から審査員経験者を除外する取扱いとするよう伝えたものである。

四の3について

 日本芸術院会員の候補者の推薦については、日本芸術院会員推薦並びに選考規則(昭和三十三年十二月十八日日本芸術院総会議決)第三条第一項において、「日本芸術院会員の候補者は、その所属すべき部の会員が推薦するものとする。ただし、部が必要と認めた場合には部外より意見を聴くことができる。」と規定されており、この規定に従って適切に行われるべきものと考えている。

五について

 御指摘の先の答弁書(平成二十六年六月二十七日内閣参質一八六第一六一号)の内容を踏まえて、平成二十六年八月二十七日付けで、文化庁長官から日本芸術院長に対し、国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)に定める服務義務の遵守について通知したことを受け、同年九月一日付けで、日本芸術院長から日本芸術院会員に対し、国家公務員としての身分を踏まえ、国民の疑惑や不信を招くことのないよう、服務義務を厳正に遵守することを求める通知がなされたところである。

六について

 平成十六年度から平成二十五年度までの十年間において、芸術団体が開催する展覧会に係る文化庁の後援名義の使用のための申請については、文化庁において、八百九十五件を受理し、その全てを許可している。また、同期間の同展覧会に係る文部科学大臣賞の交付の申請については、文化庁において、千百三十二件を受理し、その全てを許可している。