質問主意書

第187回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第七六号

内閣参質一八七第七六号
  平成二十六年十一月二十五日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員山本太郎君提出いわゆる「女性活躍推進政策」と我が国における性差別に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員山本太郎君提出いわゆる「女性活躍推進政策」と我が国における性差別に関する質問に対する答弁書

一について

 第百八十七回国会に提出した女性の職業生活における活躍の推進に関する法律案第八条においては、国及び地方公共団体以外の事業主であって、常時雇用する労働者の数が三百人を超えるものに対し、数値目標を含む一般事業主行動計画の策定等を義務付けているが、数値目標が達成されなかった場合の罰則等の措置については、意欲的な目標設定を妨げる懸念があること等から、設けないこととしている。

二及び三について

 女性の職業生活における活躍の推進に向けては、御指摘の長時間労働の是正や、男女の均等な機会及び待遇の確保、短時間労働者と通常の労働者との均衡のとれた待遇の確保、妊娠、出産等を理由とする不利益取扱いの禁止の徹底等を図り、非正規雇用の女性を含めた全ての女性労働者の活躍の推進を図ることが重要と考えている。
 また、国際労働機関(以下「ILO」という。)において採択された条約に関しては、ILO第百十一号条約については、批准に当たって整合性を検討すべき国内法制の範囲を含め慎重な検討が必要であり、現時点でお答えすることは困難である。
 また、ILO第百七十五号条約及びILO第百八十三号条約については、国内法制等との整合性について検討すべき点があることから、それらの批准については、慎重な検討が必要であると考えている。

四について

 お尋ねについては、国会議員としての発言に関するものであり、政府としてお答えする立場にない。
 また、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(昭和四十七年法律第百十三号)等において、セクシュアル・ハラスメントに関する事業主の雇用管理上の措置を講ずる義務等が定められており、引き続き、この内容の周知啓発を行うとともに、事業主等に対して必要な指導等を行うこととしている。

五について

 政府においては、「第三次男女共同参画基本計画」(平成二十二年十二月十七日閣議決定)に基づき、特に男性や若者世代を対象とした固定的性別役割分担意識の解消のための広報・啓発の推進を始めとして、各種施策に取り組んでいるところである。
 例えば、内閣府においては、「男女共同参画週間」におけるシンポジウムを通じての啓発、男性に対する研修等を行っている。法務省の人権擁護機関においては、固定的性別役割分担意識の払拭を含む女性の人権問題をテーマとした啓発冊子の配布等の啓発活動を実施している。文部科学省においては、学校教育及び社会教育において、男女の平等や男女が共同して社会に参画することの重要性等に関する教育及び学習の充実を図っている。厚生労働省においては、事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置についての指針(平成十八年厚生労働省告示第六百十五号)において、セクシュアル・ハラスメントの発生の原因や背景になり得る性別役割分担意識に基づく言動をなくしていくことが重要であることを定めるとともに、その内容の周知啓発等を行っている。

六について

 政府としては、女性の活躍推進や家事支援ニーズへの対応、中長期的な経済成長の観点から、国家戦略特別区域において試行的に、家事支援活動を提供する企業に雇用される家事支援活動を行う外国人の入国及び在留が可能となるよう、出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号)の特例に関する規定を盛り込んだ国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律案を第百八十七回国会に提出したところである。お尋ねの「労働諸条件」、「福利厚生」及び「基本的人権」については、その意味するところが必ずしも明確ではないため、一概にお答えすることは困難である。

七について

 現在検討を行っている労働時間法制の見直しについては、労働者の保護に欠けることのないよう留意しつつ、多様な働き方を選択できるようにする観点からなされているものである。
 一方、女性の職業生活における活躍の推進に向けては、第一子出産前後の継続就業を困難にしている事情の改善、男女を通じた長時間労働の是正等を今後解決していくべき課題と考えているが、政府においては、このような課題を解決し、様々な状況に置かれた女性が、自らの希望を実現して輝くことにより、我が国最大の潜在力である「女性の力」が十分に発揮され、我が国社会の活性化につながることを目指しているところである。