質問主意書

第187回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第四三号

内閣参質一八七第四三号
  平成二十六年十一月四日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員櫻井充君提出保育所での子育てに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員櫻井充君提出保育所での子育てに関する質問に対する答弁書

一について

 政府としては、性別に関わりなく保育士を確保することが重要であると考えており、平成二十五年度に発表した「待機児童解消加速化プラン」においては、保育士の確保を一つの柱として位置付け、市区町村と連携を図りながら、潜在保育士(保育士の資格を有しながら保育士として保育所等で就労していない者をいう。)の再就職支援、保育士の処遇改善等の取組を総合的に実施することで、保育士の確保に努めていくこととしている。

二について

 厚生労働省の「平成二十五年賃金構造基本統計調査」による一月当たりの「きまって支給する現金給与額」は、男性の保育士については二十二万五千四百円、女性の保育士については二十一万二千六百円、男女の平均については二十一万三千二百円である。政府としては、これらの額が全産業労働者のそれよりも低いものとなっていることを踏まえ、保育士の確保のためにはその処遇の改善を図る必要があると考えており、平成二十五年度から「保育士等処遇改善臨時特例事業」を実施しているほか、平成二十七年度以降については子ども・子育て支援新制度の下で、保育士の処遇の改善に取り組むこととしている。

三について

 前段のお尋ねについては、社会福祉法人全国社会福祉協議会全国保育協議会の「全国の保育所実態調査報告書二〇一一」によれば、「支援が必要な子ども・家庭への対応」を問う質問に対して回答のあった施設のうち、「児童虐待が疑われる家庭」が「いる」と回答した施設の割合は二十八・七パーセントであり、「児童虐待が疑われる家庭」が「いる」と回答した施設における「児童虐待が疑われる家庭の数」の平均は一・七ケースである。また、「児童虐待が疑われる家庭」が「いる」と回答した施設のうち、「児童虐待が疑われるケースの虐待内容」として「ネグレクト」と回答した施設の割合は六十二・〇パーセントであると承知している。
 後段のお尋ねについては、保育士を含む児童の福祉に携わる者が御指摘の「ネグレクト」を受けており支援が必要な児童を早期に把握し、適切な支援につなげていくことが重要であると考えている。このため、政府としては、保育所の職員等に対する児童虐待に関する専門研修及び児童虐待に関する意識の向上を図るための広報・啓発に要する費用に対する都道府県及び市区町村への補助を行っている。

四について

 御指摘の「ネグレクトなど、子どもが虐待されている場合、親を教育することができる保育士」の意味するところが必ずしも明らかでないが、保護者に虐待が疑われる場合について、保育士が保護者との十分な連絡を確保し、保護者と子どもとの関係に配慮するなど、保育士が保護者への支援を行うことが重要であると考えている。政府としては、男性の保育士を含め、保護者に対して適切に支援ができる保育士を確保することに努めてまいりたい。