質問主意書

第187回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第四二号

内閣参質一八七第四二号
  平成二十六年十月三十一日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員櫻井充君提出IOC総会における安倍総理の発言に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員櫻井充君提出IOC総会における安倍総理の発言に関する質問に対する答弁書

一について

 東京電力株式会社の福島第一原子力発電所においては、汚染水貯水タンクからの汚染水の漏えい等の個々の事象は発生しているが、同発電所の港湾外における海水の放射線モニタリングの結果によれば、放射性物質の濃度は検出できないほど低いか、基準濃度をはるかに下回っている状況にある。このため、汚染水による放射性物質の影響が見られるのは同発電所の港湾内の〇・三平方キロメートルに完全にブロックされており、全体として状況はコントロールされていると考えている。お尋ねの安倍内閣総理大臣の演説は、この旨を述べたものである。

二について

 お尋ねの「いかなる悪影響」とは、東京電力株式会社の福島第一原子力発電所からの汚染水の漏えいを原因とした放射性物質による人の健康に対する影響のことであり、この影響が、今までも、現在も、これからもないことを述べたものである。

三及び四について

 一について及び二についてで述べたとおり、汚染水による放射性物質の影響が見られるのは、東京電力株式会社の福島第一原子力発電所の港湾内の〇・三平方キロメートルに完全にブロックされていることから、御指摘の「金町浄水場において二百十ベクレルの放射性ヨウ素を検出したこと」は、同発電所からの汚染水を原因とした放射性物質の影響によるものではないと考えている。また、同発電所の事故の後、御指摘の金町浄水場の水道水から、乳児による水道水の摂取を控えるものとして設定した値(一キログラム当たり百ベクレル)を超える放射性ヨウ素が検出されたことについては、平成二十三年三月二十三日から二十四日にかけて乳児への水道水の摂取を控えるよう東京都が広報するとともに、短い期間で放射性ヨウ素が減衰したため、健康への悪影響はなかったものと考えている。

五について

 御指摘の「東京湾河口付近及び東京湾におけるセシウムの汚染」については、原子力規制委員会は、東京湾の河口域及び湾央において、平成二十四年から定期的に水質及び底質におけるセシウム百三十四及びセシウム百三十七(以下「放射性セシウム」という。)のモニタリング(以下「モニタリング」という。)を実施し、その結果を公表しており、その結果によれば、放射性セシウムは、水質における濃度は一リットル当たり四・五から五十二ミリベクレルまでの値、底質における濃度は一キログラム当たり一・六から二百十七ベクレルまでの値となっている。
 環境省は、東京湾の河口域において、平成二十四年から定期的にモニタリングを実施し、その結果を公表しており、その結果によれば、放射性セシウムは、水質では不検出、底質における濃度は一キログラム当たり七百八十ベクレル以下となっている。
 これらの放射性セシウム濃度については、水質における濃度は極めて低いレベルであり、底質については、一般的には、水による遮蔽効果により底質からの放射線は遮蔽されることから、放射線被ばくに与える影響は極めて小さいものと承知している。