質問主意書

第187回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第一一号

内閣参質一八七第一一号
  平成二十六年十月十日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員浜田和幸君提出我が国のエボラ出血熱対策に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員浜田和幸君提出我が国のエボラ出血熱対策に関する質問に対する答弁書

一について

 エボラ出血熱に対しては、厚生労働本省、検疫所、国立感染症研究所、都道府県(保健所を設置する市及び特別区を含む。)、保健所及び医療機関が密接に連携して対応することとしており、「エボラ出血熱に関する対応について(情報提供)」(平成二十六年八月七日付け厚生労働省健康局結核感染症課事務連絡)、「西アフリカにおけるエボラ出血熱発生への対応について」(平成二十六年八月八日付け健感発〇八〇八第二号・食安検発〇八〇八第一号厚生労働省健康局結核感染症課長及び医薬食品局食品安全部企画情報課検疫所業務管理室長連名通知)等により、エボラ出血熱に感染した疑いのある患者(以下「疑い患者」という。)が発生した場合における各主体の役割分担・連携の在り方等を示している。

二について

 国立感染症研究所村山庁舎においては、疑い患者から採取された血液等の検体の検査を実施する設備が整備されている。

三について

 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成十年法律第百十四号。以下「感染症法」という。)第十九条又は第二十条の規定により、都道府県知事は、エボラ出血熱を含む一類感染症の患者に対し特定感染症指定医療機関又は第一種感染症指定医療機関に入院すべきことを勧告し、又は入院させることができるとされており、平成二十六年四月一日現在において、特定感染症指定医療機関及び第一種感染症指定医療機関について、それぞれ三施設及び四十四施設が指定されている。

四について

 御指摘の「野生動物」が具体的に何を指すのか必ずしも明らかではないが、エボラ出血熱の自然界から人への感染源はコウモリ及びサルと考えられているところ、コウモリ及びサルについては、感染症法第五十四条、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律施行令(平成十年政令第四百二十号。以下「感染症法施行令」という。)第十三条及び感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第五十四条第一号の輸入禁止地域等を定める省令(平成十一年厚生省・農林水産省令第二号)第一条の規定により、厚生労働大臣及び農林水産大臣の許可を受けたときを除き、アフリカ諸国から輸入することは禁止されている。コウモリについては、当該許可はされることはないが、サルについては、当該許可を受けた場合は、感染症法第五十五条第四項及び感染症法施行令第十四条の規定により、サルの輸入者は、当該サルがエボラ出血熱にかかっているかどうか、又はその疑いがあるかどうかについての動物検疫所の家畜防疫官による検査を受けなければならないとされている。
 なお、エボラ出血熱は、感染者の体液等に直接接触することにより、人から人に感染する事例がほとんどを占め、また、アフリカ諸国以外の地域においては、野生動物の食肉を原因とするエボラ出血熱の感染事例の報告もないことから、野生動物の肉については、特段の検疫措置は講じられていない。

五について

 御指摘の医薬品は、平成二十六年三月に薬事法(昭和三十五年法律第百四十五号)第十四条第一項の規定に基づく製造販売の承認を取得した抗インフルエンザウイルス薬「アビガン錠二百ミリグラム」を指すものと考えられるが、本剤については、エボラ出血熱への適応は承認されていないものの、海外でのマウスによる実験でエボラ出血熱に対する効果が示唆されたとの研究結果が出されていることは承知している。また、現時点で本剤を用いたエボラ出血熱の患者を対象とする臨床試験は国内外で実施されていないものの、今後、海外において臨床試験が実施される予定であると承知している。

六について

 政府は、これまで、世界保健機関からの要請を受け、合計三人、延べ四人の医療関係者を世界保健機関の枠組みを通じて、西アフリカ地域に派遣している。政府としては、引き続き、必要な施策を講じてまいりたい。