質問主意書

第187回国会(臨時会)

質問主意書


質問第三八号

年金積立金管理運用独立行政法人における運用と災害リスクに関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十六年十月二十二日

櫻井 充   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   年金積立金管理運用独立行政法人における運用と災害リスクに関する質問主意書

 年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の組織及び年金積立金の運用については、二〇一三年十一月の「公的・準公的資金の運用・リスク管理等の高度化等に関する有識者会議」報告書や、二〇一四年六月の「日本再興戦略」改訂二〇一四で取り上げられるなど、活発な議論が続いている。
 年金積立金の運用に当たっては、国民の将来の安心を確保するために、少しでも損失を避けるよう全力を尽くすべきであることは自明である。その観点からは、今後日本において発生する可能性が高いとされる地震等の自然災害によって、運用資産の毀損等が生じ得るという災害リスクについても、あらかじめ考慮しておくべきである。しかし、GPIFがこうした災害リスクについて的確に把握し、運用の上で必要な対応を講じているかは明らかではない。
 東日本大震災以降、日本の地震活動が活発化しているとの指摘がある中で、こうした大きな災害が、極めて厳しさを増している日本の財政事情や金融市場にもたらす影響も、決して軽視することはできない。
 そこで、以下質問する。

一 政府は、首都直下地震が発生する確率と被害額をどのように想定しているのか。また、首都直下地震が発生した際に、最大どの程度の株価及び金利の変動を見込んでいるのか。

二 政府は、南海トラフ地震が発生する確率と被害額をどのように想定しているのか。また、南海トラフ地震が発生した際に、最大どの程度の株価及び金利の変動を見込んでいるのか。

三 政府が推し進めている「国土強靱化」政策は、首都直下地震や南海トラフ地震に係る地震防災対策の一環として行われるものであるのか。そうでないのであれば、これらの地震防災対策と「国土強靱化」政策の関係について明らかにされたい。

四 GPIFにおける年金積立金の運用において、首都直下地震や南海トラフ地震など、今後高い確率で発生が見込まれる地震災害がもたらす災害リスクを考慮して、運用比率や運用対象を決定するべきだと考えるが、いかがか。
 仮に、こうした災害リスクを運用上考慮していないということであれば、今後発生する可能性の高い災害リスクを無視したことと同じであると考えるが、政府の見解を明らかにされたい。また、あらかじめ災害リスクを無視したことにより損失が発生した場合には、誰が責任を取ることになるのか。

五 国際連合は、「国連世界防災白書」等を通じて、企業における災害リスク管理の重要性の高まりに伴い、大手機関投資家による投資が災害リスクを意識したものに変化する可能性を指摘している。
 また、国際連合の国際防災戦略事務局(UNISDR)は、二〇一四年五月、災害リスク管理を企業の経営計画や投資をめぐる意思決定の中に浸透させることを主眼とした「R!SE(ライズ)イニシアティブ」を発表し、国連責任投資原則(UNPRI)を通じて、政府系ファンドや年金ファンドに、投資ポートフォリオにおける災害リスクへの配慮を呼びかけている。
 政府は今後、GPIFの運用方針を考えるに当たり、こうした国際的な動向も参考にしつつ、災害リスクを考慮するつもりがあるのかを明らかにされたい。

  右質問する。