質問主意書

第187回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一七号

自衛隊員のアスベストによる災害補償の認定の遅れに関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十六年十月六日

田村 智子   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   自衛隊員のアスベストによる災害補償の認定の遅れに関する質問主意書

 自衛隊員の業務中のアスベスト被曝による中皮腫、肺がんの災害補償申請件数は防衛省の資料によると六十件となっている。特に海上自衛隊所属の隊員の石綿関連疾患の災害補償の申出が多く、自衛艦などにおいて深刻なアスベスト被曝があったものと思われる。自衛隊内でも民間と同様に使用が禁止されるまで耐火材料や保温材料として建物や自衛艦などでアスベストが多く使用されており、その救済が急がれる。
 防衛省の資料によると二〇〇三年七月に死亡し二〇〇五年九月二十日に災害補償の請求を行った石綿肺の患者は現在まで審査中であり、公務上の災害か否かの決定が行われていない。また、アスベスト被曝による発症であることが明らかな中皮腫についても、二〇〇七年二月発症、二〇〇七年三月十八日死亡の症例に関する二〇〇七年三月二日付けで行われた災害補償の請求について公務上の災害か否かの決定が行われていない。これ以外にも災害補償の申出に対して相当部分の結論が出ていない。国家公務員災害補償法による石綿関連疾患の災害補償事案の処理と比べて異常な事態である。
 公務災害の申出に対して結論を出さず放置することは実質的に災害補償の道を閉ざすものであり許されない。
 以下、この観点から質問する。

一 防衛省職員の石綿関連疾患に係る災害補償の申出の件数と、実施機関が既に行った公務上の災害か否かの認定の件数について明らかにされたい。また、同様に国家公務員災害補償法に基づく石綿関連疾患に係る災害補償の申出の件数と、実施機関が既に行った公務上の災害か否かの認定の件数について明らかにされたい。

二 防衛省職員の石綿関連疾患に係る災害補償の申出のうち実施機関が既に公務上の災害か否かの認定を行った事案について、申出から認定日まで経過した年数毎に件数を明らかにされたい。また、防衛省職員の石綿関連疾患に係る災害補償の申出のうち実施機関がいまだ公務上の災害か否かの認定を行っていない事案について、申出から現在まで経過した年数毎に件数を明らかにされたい。

三 国家公務員災害補償法に基づく石綿関連疾患に係る災害補償の申出のうち、実施機関が既に公務上の災害か否かの認定を行った事案について、申出から認定日まで経過した年数毎に件数を明らかにされたい。また、国家公務員災害補償法に基づく石綿関連疾患に係る災害補償の申出のうち、実施機関がいまだ公務上の災害か否かの認定を行っていない事案について、申出から現在まで経過した年数毎に件数を明らかにされたい。

四 防衛省職員の石綿関連疾患に係る災害補償の申出の処理は国家公務員災害補償法に基づく申出に著しく遅れており、防衛省職員の石綿関連に係る公務災害の救済にとって由々しき事態だと考えるが、政府にその認識はあるのか。その原因についての政府の見解と併せて明らかにされたい。

五 石綿を使用した建物や艦船のデータベース化など防衛省としても審査の迅速化の努力をしているようだが、審査に当たるアスベスト関連疾患の専門医を確保するなどさらなる努力が必要ではないか、政府の見解を明らかにされたい。

  右質問する。