質問主意書

第187回国会(臨時会)

質問主意書


質問第四号

新国立競技場建設と都営霞ヶ丘アパート住民立ち退き問題に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十六年九月二十九日

有田 芳生   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   新国立競技場建設と都営霞ヶ丘アパート住民立ち退き問題に関する質問主意書

 二〇二〇年開催の東京オリンピック、二〇一九年開催のラグビーワールドカップにかかる新国立競技場の建設にあたり、都営霞ヶ丘アパート(以下「霞ヶ丘アパート」とする)所在地が関連敷地となることから解体、住民の立ち退きが求められています。
 東京都(以下「都」とする)によると、都が実施した立ち退きに関する住民への説明ならびに協議は、町会を通じて行っています。この協議内容については町会報により住民に周知されているという認識を都はもっていますが、住民のすべてがそのような認識ではありません。
 そこで、前回オリンピックの開催時と同様に立ち退き移転を迫られている、あるいは既に早期移転した住民もいる霞ヶ丘アパートの二度目の立ち退きについて、以下質問します。

一 都は、ラグビーワールドカップ二〇一九年日本大会成功議員連盟の「国立霞ケ丘競技場の八万人規模ナショナルスタジアムへの再整備等に向けて」という決議と、独立行政法人日本スポーツ振興センター(以下「JSC」とする)主催の有識者会議(以下「有識者会議」とする)における提言を立ち退きの根拠としています。
 その後、都は二〇一二年七月中旬に日付記載のないチラシ「国立競技場の建替えに伴う移転について」を霞ヶ丘アパートに全戸配布しました。この立ち退き決定にかかる法的根拠の妥当性について、政府としての見解をお示し下さい。

二 多くの高齢住民の移転は、日本国憲法第二十二条の定める居住権のみならず、身体的、精神的苦痛を伴うことから憲法二十五条の生存権にもかかわっています。立ち退き移転について、都が住民に経過を含めた丁寧な説明、対応をする必要がありますが、政府の見解をお示し下さい。

三 霞ヶ丘アパートが都の管轄であることは承知しています。しかし国も出席した有識者会議の提言をもとに移転を決定したこと、また、国策としてオリンピックを開催することを考えれば、「人と環境にやさしいスタジアム」の建築として国としても住民に説明がなされるべきではないでしょうか。また、都に限らず公営住宅の立ち退きや移転の際の自治体による住民への説明、対応はどうあるべきか、政府の考えをお示し下さい。

四 二〇一四年九月八日、参議院議員会館において都都市整備局の職員にヒアリングを実施したところ、霞ヶ丘アパートの立ち退きに関してはあくまで有識者会議の提言をもとに決定したとし、都にはこのことを決めた決裁文書などはないと回答しました。こういった自治体の決裁ならびに事務手続は法的有効性を持っているのか、政府の見解をお示し下さい。

五 有識者会議には国も出席しています。霞ヶ丘アパートの解体、立ち退き移転についての国の関与、この決定や取りすすめについての国(文部科学省)と都の関係、それぞれの役割についてお示し下さい。

  右質問する。