質問主意書

第186回国会(常会)

答弁書


答弁書第一五六号

内閣参質一八六第一五六号
  平成二十六年六月二十七日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員石橋通宏君提出国際労働機関(ILO)の条約・勧告適用監視メカニズムに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員石橋通宏君提出国際労働機関(ILO)の条約・勧告適用監視メカニズムに関する質問に対する答弁書

一について

 政府としては、国際労働機関(以下「ILO」という。)は、労働条件の改善を通じて、社会正義を基礎とする世界の恒久平和の確立に寄与すること及び完全雇用、労使の協調、社会保障等を推進すること等を目的とした国際機関であると認識しており、加盟国として、その活動に積極的に貢献することが重要であると考えている。
 また、政府としては、御指摘の「中核八条約」を含むILOにおいて採択された条約(以下「ILO条約」という。)の批准や遵守のための取組は重要なものと認識しており、それぞれのILO条約の目的、内容、我が国にとっての意義等を十分検討し、国内法制等との整合性を確保した上で批准するとともに、批准したILO条約については、憲法第九十八条第二項の規定にのっとり、これを誠実に遵守しなければならないと考えている。

二について

 一についてでお答えしたとおり、ILO条約については、それぞれの条約の目的、内容、我が国にとっての意義等を十分検討し、国内法制等との整合性を確保した上で批准する必要があると考えており、御指摘のILO第百五号条約及びILO第百十一号条約については、国内法制等との整合性について検討すべき点があることから、その批准については、慎重な検討が必要であると考えている。

三について

 お尋ねの平成二十六年四月十日の参議院厚生労働委員会における政府参考人の答弁は、政府として、ILO結社の自由委員会の見解は尊重すべきものとの考えの下、同委員会第三百七十次報告のパラグラフ六十六の記述の趣旨を説明したものである。

四について

 政府としては、ILO結社の自由委員会に対して申立てを行う前には、必ずしも、あらかじめ国内における司法手続が終了していることが必要とされているわけではないものと認識している。
 御指摘の「当該案件」については、平成二十六年六月三日及び五日の東京高等裁判所の控訴審判決に対し、それぞれ控訴人(原告)から上告が提起されたものと承知しており、最高裁判所に現在係属中であることから、政府としては、とかくの見解を述べるべき立場にないが、事態の推移を見守ってまいりたい。