質問主意書

第186回国会(常会)

答弁書


答弁書第一四二号

内閣参質一八六第一四二号
  平成二十六年六月二十四日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員山本太郎君提出東京電力福島第一原子力発電所の変電所における地震動による被害に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員山本太郎君提出東京電力福島第一原子力発電所の変電所における地震動による被害に関する質問に対する答弁書

一について

 経済産業省及び原子力規制委員会においては、東京電力株式会社(以下「東京電力」という。)が、平成二十五年三月に、御指摘の「東北地方太平洋沖地震に伴う電気設備の停電復旧記録」(以下「復旧記録」という。)を公表したことについては承知しているが、東京電力から復旧記録の提出を受けた事実はない。

二、三、七及び十一について

 お尋ねの「特別に詳しく」の意味するところが必ずしも明らかではないが、経済産業省においては、平成二十六年六月四日に、平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震(以下「東北地方太平洋沖地震」という。)の際に、御指摘の「同変電所の敷地内全般で発生したと報告されている法面崩壊、液状化による地盤沈下、道路陥没、屋外鉄構の傾斜の四つの事象」(以下「四つの事象」という。)が発生したことについて、東京電力から報告を受けているが、原子力規制委員会においては、四つの事象について、東京電力から報告を受けた事実はない。
 また、経済産業省及び原子力規制委員会においては、御指摘の「東電が、福島第一原子力発電所における基準地震動クラスの地震が発生した場合には、地震動が増大し、開放基盤面における最大加速度は千二十四ガルにも達することを予測したために、平成三十二年の完了を目指してどのような対策を採っていたのか」について、東京電力から説明を受けた事実はない。
 一方、経済産業省においては、原子力規制委員会が設置される前の平成二十三年四月二十五日に、電気事業法(昭和三十九年法律第百七十号)の規定に基づき、東京電力に対し、東北地方太平洋沖地震の発生以後の東京電力の福島第一原子力発電所内外の電気設備の被害状況等について、報告徴収を実施しており、これに基づき、東京電力からは、同年五月十六日に、東京電力の新福島変電所について、地震動により一部の電気設備に被害が生じたとの報告を受けたが、液状化による電気設備の被害が生じたとの報告は受けなかったものであり、その後も、液状化による電気設備の被害に係る報告は受けていない。このため、お尋ねの「情報提供」の意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の最終報告書においては、同変電所について、「液状化による被害なし。」としており、また、同変電所は全体としてその機能を維持していたことからも、御指摘の「液状化の状況や途上にあった耐震対策」については、改めて報告を求める必要はないと考えている。

四、五、八及び九について

 原子力規制委員会としては、御指摘の「検討」及び「検証」を行った事実はないが、原子力発電所に係る電源確保の在り方については、東京電力の福島第一原子力発電所の事故を踏まえ、外部電源喪失は発生し得るものとして原子力発電所内の電源を増強することが重要であると考えており、このような観点から、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和三十二年法律第百六十六号)第四十三条の三の六第一項第四号の規定に基づき定められている実用発電用原子炉及びその附属施設の位置、構造及び設備の基準に関する規則(平成二十五年原子力規制委員会規則第五号)において、従来よりも非常用の電源設備を増強すること等を求めている。その上で、外部電源系統の信頼性を向上させる観点から、同規則においては、原子力発電所内の施設に接続する外部からの電線路のうち少なくとも二回線がそれぞれ互いに独立したものであることを求めている。

六について

 お尋ねの「東電資料」が具体的に何を指すのか明らかではないため、お尋ねについてお答えすることは困難である。

十について

 お尋ねの「同変電所の耐震脆弱性が外部電源喪失の一因になったかどうかの判断材料となる資料」が具体的に何を指すのか必ずしも明らかではないが、東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会が平成二十三年十二月二十六日に取りまとめた中間報告書及び平成二十四年七月二十三日に取りまとめた最終報告書は、関係者からのヒアリング結果とその他の資料との突合せや調査・検証による様々な事実確認を経て取りまとめられたものと認識している。