質問主意書

第186回国会(常会)

答弁書


答弁書第一三一号

内閣参質一八六第一三一号
  平成二十六年六月二十日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員小西洋之君提出日米安全保障条約と集団的自衛権行使の解釈変更に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員小西洋之君提出日米安全保障条約と集団的自衛権行使の解釈変更に関する質問に対する答弁書

一について

 一般に、閣議決定は、法令の範囲内においてなされるものであり、政府が御指摘の「条約又は法律に違反する、あるいは、矛盾・抵触する閣議決定」を行うことは考えられないが、閣議決定がなされた後に当該閣議決定と異なる内容を定める新たな法律が制定された場合等は、当該閣議決定は、その限りにおいて、その効力を有しないこととなるものと解される。

二及び三について

 お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約(昭和三十五年条約第六号。以下「日米安保条約」という。)第三条は、日米両国は、憲法上の規定に従うことを条件として、個別的に及び相互に協力して、継続的かつ効果的な自助及び相互援助により、武力攻撃に抵抗するそれぞれの能力を維持し発展させる旨を規定している。
 同条の規定について、政府としては、これまで国会等において、沿革的には、米国の上院で昭和二十三年に決議されたヴァンデンバーグ決議を背景とするものであり、北大西洋条約その他の防衛条約にも類似の規定があること、同決議の趣旨は、米国が他国を防衛する義務を負う以上は、その相手国は、自らの防衛のために自助努力を行い、また、米国に対しても、防衛面で協力する意思を持った国でなければならないというものであること、ただし、我が国の場合には、「相互援助」といっても、集団的自衛権の行使を禁じている憲法の範囲内のものに限られることを明確にするために、「憲法上の規定に従うことを条件」としていることを説明してきたところである。

四について

 お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、日米安保条約の国会による承認は、憲法第七十三条第三号ただし書の規定に基づき、日米安保条約の締結について行われたものであると承知しており、「国会が当該承認行為を通じて「我が国において、集団的自衛権の行使は憲法上許されない」との憲法解釈を機関として決定しているもの」とは承知していない。

五から七まで及び九から十一までについて

 「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」が平成二十六年五月十五日に報告書を提出したことを受けて、国民の命と平和な暮らしを守るため、あらゆる事態に切れ目のない対処を可能とするための国内法制の整備の在り方について、憲法解釈との関係も含め、現在、「安全保障法制整備に関する与党協議会」において協議が進められているものと承知しており、現時点において、集団的自衛権の行使容認を前提としたお尋ねにお答えすることは差し控えたい。なお、日米安保条約第三条の規定及び日米安保条約の国会による承認に関する政府の認識は、二及び三について及び四についてでお答えしたとおりである。

八について

 一般に、条約と法律との関係については、条約が法律に優位すると解される。

十二について

 お尋ねの米軍の「想定」や「期待」について、政府としてお答えする立場にない。

十三について

 お尋ねに関し、政府としての認識は、一について、二及び三について、四について及び五から七まで及び九から十一までについてでお答えしたとおりである。お尋ねが太田国土交通大臣個人の認識に関するものであれば、政府としてお答えすることは困難である。