質問主意書

第186回国会(常会)

答弁書


答弁書第一二四号

内閣参質一八六第一二四号
  平成二十六年六月二十日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員水野賢一君提出北方領土問題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員水野賢一君提出北方領土問題に関する質問に対する答弁書

一について

 昭和二十年八月十五日時点において六か月以上北方四島に居住していた者は、択捉島が三千六百八人、国後島が七千三百六十四人、歯舞群島が五千二百八十一人及び色丹島が千三十八人である。

二について

 ロシア連邦の公表資料によれば、平成二十五年一月一日時点において北方四島に居住している者は、択捉島が六千六百六人、国後島が七千三百五十五人、歯舞群島が零人及び色丹島が二千九百十三人である。

三について

 法令においては、従来から「歯舞群島」という名称を使用していたが、国土地理院が刊行する地図等及び海上保安庁が刊行する海図等においては、「歯舞諸島」という名称を使用していたところ、平成二十年四月以降、これを「歯舞群島」という名称に変更している。

四について

 政府としては、我が国は、日本国との平和条約(昭和二十七年条約第五号。以下「サンフランシスコ平和条約」という。)に基づき、千島列島及び我が国が千九百五年九月五日のポーツマス条約の結果として主権を獲得した樺太の一部等に対する全ての権利、権原及び請求権を放棄したが、サンフランシスコ平和条約は、これらの地域の最終的な帰属について規定しておらず、その最終的な帰属は未定であるとの立場である。

五について

 政府としては、北方四島はロシア連邦に法的根拠のない形で占拠されており、大韓民国による竹島の占拠は不法占拠であると認識している。御指摘のいずれの表現であっても、北方四島及び竹島の置かれた状況についての政府の法的評価は一貫しており、北方領土問題及び竹島問題に関する政府の法的立場に変わりはない。どのような場でどのような表現を使うかについては、例えば、領土問題は相手国との交渉等を通じて解決すべきものであるということ、相手国との関係全般等を考慮した結果として行われる、その時々の政策的判断により異なり得るものである。

六について

 政府としては、ロシア連邦の軍隊が北方四島に駐留していると承知している。また、同国の国境警備局は、同国政府の組織上、国防省ではなく連邦保安庁に属していると承知している。

七について

 外務省としては、我が国国民がロシア連邦の出入域手続に従って北方四島を訪問するといった事案に関する情報を含め必要な情報の収集を行ってきており、具体的事案が判明する場合には、その都度、申入れを行う等適切に対応してきているが、同省が行っている情報収集の内容等について具体的にお答えすることは、今後の情報収集等に支障を来すおそれがあることから、差し控えたい。また、政府としては、あたかも北方四島に対する同国の管轄権を前提にしたかのごとき形で我が国国民が北方四島に入域することは、北方領土問題に関する我が国の立場とは相容れないと考える。

八について

 外務省においては、北方四島からの患者の受入れ等の支援を実施してきているところである。