質問主意書

第186回国会(常会)

答弁書


答弁書第一一九号

内閣参質一八六第一一九号
  平成二十六年六月十七日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員藤末健三君提出憲法解釈の変更を内閣総理大臣が主導することに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員藤末健三君提出憲法解釈の変更を内閣総理大臣が主導することに関する質問に対する答弁書

一、二及び四について

 憲法第九十九条は、日本国憲法が最高法規であることに鑑み、天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、憲法の規定を遵守するとともに、その完全な実施に努力しなければならない旨を定め、憲法第七十三条第一号は、内閣の事務として、「法律を誠実に執行し、国務を総理すること。」を定めており、これらの憲法の規定を遵守することは当然のことと考えている。
 一般論として、憲法を始めとする法令の解釈は、衆議院議員島聡君提出政府の憲法解釈変更に関する質問に対する答弁書(平成十六年六月十八日内閣衆質一五九第一一四号)一についてで述べたとおり、当該法令の規定の文言、趣旨等に即しつつ、立案者の意図や立案の背景となる社会情勢等を考慮し、また、議論の積み重ねのあるものについては全体の整合性を保つことにも留意して論理的に確定されるべきものであり、政府による憲法の解釈は、このような考え方に基づき、それぞれ論理的な追求の結果として示されてきたものであって、諸情勢の変化とそれから生ずる新たな要請を考慮すべきことは当然であるとしても、なお、前記のような考え方を離れて政府が自由に憲法の解釈を変更することができるという性質のものではないと考えている。仮に、政府において、憲法解釈を便宜的、意図的に変更するようなことをするとすれば、政府の憲法解釈ひいては憲法規範そのものに対する国民の信頼が損なわれかねないと考えられる。このようなことを前提に検討を行った結果、従前の解釈を変更することが至当であるとの結論が得られた場合には、これを変更することがおよそ許されないというものではないと考えられるが、いずれにせよ、その当否については、個別的、具体的に検討されるべきものである。

三及び五について

 お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」が平成二十六年五月十五日に報告書を提出したことを受けて、国民の命と平和な暮らしを守るため、あらゆる事態に切れ目のない対処を可能とするための国内法制の整備の在り方について、憲法解釈との関係も含め、現在、「安全保障法制整備に関する与党協議会」において協議が進められているものと承知しており、現時点において、集団的自衛権の行使容認を前提としたお尋ねにお答えすることは差し控えたい。