質問主意書

第186回国会(常会)

答弁書


答弁書第四九号

内閣参質一八六第四九号
  平成二十六年三月二十八日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員川田龍平君提出ストロンチウム九十等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員川田龍平君提出ストロンチウム九十等に関する質問に対する答弁書

一から三までについて

 御指摘の「ストロンチウム九十は歯や骨に蓄積するだけでなく、人間や生物体内のカルシウムに代替する」の意味するところが必ずしも明らかでないが、ストロンチウム九十はカルシウムと化学的な性質が類似していることから、体内に取り込まれた後、一部は血液を通じて骨に沈着し、一部は尿等と共に体外に排出されるものと承知している。また、骨に沈着したストロンチウム九十が発する放射線は、内部被ばくをもたらすものと承知している。

四について

 お尋ねについては、例えば、独立行政法人放射線医学総合研究所において、ストロンチウム九十を含む放射性物質による内部被ばく線量の評価に関する研究が行われている。

五について

 御指摘の「高濃度のストロンチウム九十を含む汚染水」の意味するところが必ずしも明らかでなく、お答えすることは困難である。なお、放射性物質により汚染された地下水の東京電力株式会社(以下「東京電力」という。)福島第一原子力発電所の港湾内への流出が、東京電力により明らかにされており、政府としては、汚染水が海洋に漏えいしないよう、対策を講じているところである。

六及び七について

 東京電力福島第一原子力発電所においては、汚染水貯水タンクからの汚染水の漏えい等の個々の事象は発生しているが、同発電所の港湾外における海水の放射線モニタリングの結果によれば、放射性物質の濃度は検出できないほど低いか、基準濃度をはるかに下回っている状況にある。このため、汚染水による放射性物質の影響が見られるのは同発電所の港湾内の〇・三平方キロメートルに完全にブロックされており、全体として状況はコントロールされていると考えている。

八について

 御指摘の「措置」としては、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和三十二年法律第百六十六号。以下「原子炉等規制法」という。)に基づく製錬、加工、貯蔵、再処理及び廃棄の事業並びに原子炉の設置及び運転等に関する規制並びに放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律(昭和三十二年法律第百六十七号)に基づく放射性同位元素の使用、販売、賃貸、廃棄その他の取扱い、放射線発生装置の使用及び放射性同位元素又は放射線発生装置から発生した放射線によって汚染された物の廃棄その他の取扱いに関する規制のほか、大気汚染防止法(昭和四十三年法律第九十七号)に基づく放射性物質による大気汚染の状況の監視、水質汚濁防止法(昭和四十五年法律第百三十八号)に基づく放射性物質による公共用水域等の水質汚濁の状況の監視等の措置が講じられている。また、放射性物質に係る環境基準については、従来の環境汚染物質に対する環境基準の仕組みを放射性物質による環境汚染の防止のために活用できるかを含め、現在、諸外国の制度について情報収集を行いつつ、検討しているところである。

九について

 御指摘の「二月二十八日の意見交換」における、諸外国の放射性物質に係る環境基準に関する環境省の職員の説明は、原子力規制委員会の規制に対する姿勢について述べたものではない。

十について

 原子炉の運転に関する規制については、原子炉等規制法により、既に必要な措置が講じられていることから、新たな法整備を行う必要はないと考えている。

十一について

 平成二十五年八月十九日に発生した東京電力福島第一原子力発電所における汚染水貯留タンクから汚染水が漏えいするという事象(以下「漏えい事象」という。)に対する国際原子力・放射線事象評価尺度を用いた評価(以下「INES評価」という。)については、漏えい事象の発生初期の段階において、最終的なINES評価を適切に実施する上で必要な全ての情報を正確に把握することが困難であったことから、暫定値として評価しているところである。
 原子力規制庁においては、東京電力に対し、漏えい事象について、詳細な調査や確認を行った上で、最終的なINES評価を適切に実施するために必要な情報も含めて報告するよう指示しており、当該報告を受け、その妥当性の確認等を行い、最終的なINES評価を適切に実施することを考えている。

十二について

 御指摘の「原子力緊急事態宣言」において公示された原子力災害対策特別措置法(平成十一年法律第百五十六号)第十五条第二項各号に掲げる事項は、首相官邸のホームページにおいて公表している。また、同法第二十条第六項の規定に基づき、同法第十五条第二項第一号及び第三号に掲げる事項を変更した場合においても、当該ホームページにおいて、その都度公表している。