質問主意書

第186回国会(常会)

答弁書


答弁書第四二号

内閣参質一八六第四二号
  平成二十六年三月二十日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員藤田幸久君提出敗戦直後からの確定債務・休眠口座などの現状に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員藤田幸久君提出敗戦直後からの確定債務・休眠口座などの現状に関する質問に対する答弁書

一及び四について

 お尋ねの「確定債務」の具体的な範囲は必ずしも明らかではないが、お尋ねの「日本政府及び日本銀行・政府系金融機関」等の、法律上の支払義務が発生した後、払戻し等によりその支払義務が消滅していない未払の債務(以下「未払の債務」という。)について、今回政府が調査し判明したものは、次のとおりである。
 軍事郵便貯金(軍事郵便貯金等特別処理法(昭和二十九年法律第百八号)第二条第一号に規定する軍事郵便貯金をいう。以下同じ。)約二十一億五千三百万円、外地郵便貯金(同条第三号に規定する外地郵便貯金をいう。以下同じ。)約二十五億三千万円があり、外地郵便貯金のうち、これを管理する独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構に貯金原簿がないために預金者の氏名を特定できないものは、約二十一億千八百万円であるものと承知している。なお、これらの軍事郵便貯金、外地郵便貯金については、平成二十五年三月末現在までの利子を含めた金額になっている。また、国外居住外国人等に対する債務の弁済のためにする供託の特例に関する政令(昭和二十五年政令第二十二号)第八条に基づき、日本銀行が保管し、財務大臣に対して報告した供託物の平成二十六年二月末現在の残高は、現金一億六千七百七十九万千四百円及び有価証券四千七百三十五万五千六百円である。さらに、終戦日前に発行された外国債六千四百三十一万三千五百七十六円(平成二十四年度末現在)が存在しているが、当該外国債全額については所有者が特定されていない。加えて、臨時軍事費特別会計法(昭和十二年法律第八十五号)により設置された旧臨時軍事費特別会計の債務のうち、閉鎖機関に関する債権の時効等の特例に関する政令(昭和二十三年政令第二百六十四号)等に基づき時効が完成しないものとされたもの四百十四億二千百九十六万千五百七十五円(平成二十四年度末現在)が存在する。また、これらについては、国籍別に管理を行っていないため、その内訳についてお答えすることは困難である。
 なお、政府は、終戦に際し、外国為替管理法(昭和十六年法律第八十三号)等に基づき引揚者等から寄託された旧日本銀行券、国債(大蔵省関係法令の整理に関する法律(昭和二十九年法律第百二十一号)等に基づき、消滅時効の完成後も国が国債の元利金の支払を行うことができるものを含む。)等、約百八万四千七百件を保管しているほか、旧連合国軍総司令部から引き渡された旧日本銀行券等約八百万円相当(表示額面の合計。このほか、金額換算が困難な外国通貨等がある。)を保管している。
 日本銀行においては、昭和二十年勅令第五百四十二号ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く日本銀行に対する外国通貨等の引渡に関する勅令(昭和二十一年勅令第六百三十四号)に基づき本邦内に居住する者から引渡しを受けた外国為替の証書六十二枚(このほか、金額換算が困難な外国通貨がある。)を保管しており、また、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定の実施に伴う外国為替管理令等の臨時特例に関する政令(昭和二十七年政令第百二十七号)及び日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定の実施に伴う外国為替管理令等の臨時特例に関する政令(昭和二十九年政令第百二十九号)に基づき、アメリカ合衆国の軍隊等以外の者から寄託されたアメリカ合衆国又は国際連合軍派遣国政府が発行した軍票千二百五十六枚を保管しているものと承知している。
 株式会社商工組合中央金庫においては、終戦日前に発行した無記名債券十二枚、合計二万円(表示額面の合計)が未償還となっているものと承知している。昭和二十年九月に閉鎖を命ぜられた南方開発金庫及び外資金庫においては、債務の確定が困難であり、現在なお清算中であるものと承知している。

二及び三について

 一及び四についてでお答えした未払の債務のうち、現時点で政府として把握しているのは、資料の存する限りにおいては、平成二十二年四月から平成二十五年三月までにかけて、軍事郵便貯金について三十四件、十二万七千九百六十五円、外地郵便貯金について四十三件、七万八千百二十七円払い戻しているものと承知しており、また、引揚者等から寄託された旧日本銀行券、国債等の過去十年間における返還件数については約七千八百件となっている。
 軍事郵便貯金及び外地郵便貯金については、実績を踏まえると、今後も同程度の請求はあり得るものと考えられるが、一及び四についてでお答えした未払の債務について、今後の請求を明確に見通すことは困難である。

五及び七について

 一及び四についてでお答えした未払の債務のうち、軍事郵便貯金及び外地郵便貯金については、独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構の業務の委託先である株式会社ゆうちょ銀行の営業所及び再委託先である日本郵便株式会社の郵便局において、預金者等からの請求を受け付け、払戻しを行うほか、貯金の存在を確認するための照会に応じているものと承知している。
 政府としては、未払の債務については、債務の種類に応じて所管の省庁又はその債務を有する機関において債務の履行を行うことを基本的な方針としており、引き続き所要の対応をしてまいりたい。

六について

 民間の金融機関が保管するお尋ねの「債務に関するデータ」については、政府として現時点で把握している限りにおいては、調査を行っておらず、それらの内容については把握していない。