質問主意書

第186回国会(常会)

答弁書


答弁書第三六号

内閣参質一八六第三六号
  平成二十六年三月十四日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員徳永エリ君提出高レベル放射性廃棄物の最終処分地の選定及び処分研究に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員徳永エリ君提出高レベル放射性廃棄物の最終処分地の選定及び処分研究に関する質問に対する答弁書

一について

 高レベル放射性廃棄物の最終処分(以下「最終処分」という。)については、原子力発電環境整備機構において、特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律(平成十二年法律第百十七号)に基づく文献調査を行うために、平成十四年以降、文献調査の対象地域に係る公募を全国の自治体に対して実施しているが、自治体が住民に対して応募の妥当性について地質環境等の観点から科学的に説明することの負担が重い等の理由から、現時点において、文献調査の実施には至っていない。このような事情を踏まえ、平成二十五年十二月十七日の最終処分関係閣僚会議において、国が、科学的根拠に基づき、より適性が高いと考えられる地域を提示し、文献調査の実施に向けて取り組む方向で検討を進めていくこととしたところであり、その具体的内容については、今後検討していくこととしているが、御指摘の「等」については、例えば、討論会を想定している。

二について

 最終処分については、将来世代の負担を最大限軽減するため、可能な限り長期間の管理を必要としない方法により行うことを目指すべきであり、具体的には、現時点において最良と考えられる地層処分に向けた取組を開始すべきであるというのが国際的な共通認識であると承知している。
 一方、日本学術会議が平成二十四年九月十一日に取りまとめた「高レベル放射性廃棄物の処分について(回答)」(以下「日本学術会議回答」という。)において、「高レベル放射性廃棄物を、一定の暫定的期間に限って、その後のより長期的期間における責任ある対処方法を検討し決定する時間を確保するために、回収可能性を備えた形で、安全性に厳重な配慮をしつつ保管する」との考え方が提示されたこと等を踏まえ、政府においては、平成二十五年五月以降、総合資源エネルギー調査会において、最終処分に関する取組の見直しについて検討しており、また、同年十二月十七日に、最終処分関係閣僚会議において、最終処分について、地層処分を前提に取組を進めつつも、将来世代が最良の処分方法を常に再選択できるよう、可逆性・回収可能性を担保していくとの方向性を示しており、具体的には、最終処分場において、一定期間、高レベル放射性廃棄物を回収可能な状態に維持しつつ、地層処分の技術的信頼性の定期的な評価及び他の処分方法の調査・研究を並行的に進めることにより、より良い処分方法を継続的に追求していくこととしている。
 また、最終処分関係閣僚会議において、地域の合意形成の仕組みや支援策等について、今後検討の上で適切な措置を講ずることとしており、日本学術会議回答において示された「多段階合意形成の手続き」の考え方も参考にしてまいりたい。

三及び四について

 平成十年十月に策定された「深地層研究所(仮称)計画」及び平成十二年十一月に締結された「幌延町における深地層の研究に関する協定書」については、いずれも変更等は行われておらず、お尋ねのいずれについても、これらに沿った対応が行われるものと承知している。

五について

 使用済燃料の直接処分については、我が国の地質環境において技術的に実現が可能か確認を行うべく、文部科学省及び経済産業省において、平成二十五年度から五年間の予定で研究等を開始したところである。具体的には、文部科学省においては、独立行政法人日本原子力研究開発機構(以下「機構」という。)に対して、直接処分に係る技術の安全性の評価及び使用済燃料に含まれる放射性物質の挙動等の研究に係る経費を含めて交付金を交付しており、また、経済産業省においては、機構及び公益財団法人原子力環境整備促進・資金管理センター等に委託して、放射性物質が地下水等によって人間環境に運ばれることを抑制するための仕組みである人工バリア等について、使用済燃料の特性を踏まえた材料の開発等の研究を進めているところである。

六について

 機構の第三期中期計画については、平成二十七年四月までに策定されるものであり、御指摘のような事実はないものと承知している。