質問主意書

第186回国会(常会)

答弁書


答弁書第二八号

内閣参質一八六第二八号
  平成二十六年三月七日
内閣総理大臣 安 倍 晋 三   


       参議院議長 山 崎 正 昭 殿

参議院議員大久保勉君提出ビットコインに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員大久保勉君提出ビットコインに関する質問に対する答弁書

一及び二について

 ビットコインについては、特定の発行体が存在せず、各国政府や中央銀行による信用の裏付けもない等の特徴を有するとされているものと理解しているが、政府として、その全体像を把握しているものではなく、現在、関係省庁において連携を図りつつ、情報収集に取り組んでいるところである。
 お尋ねの世界全体におけるビットコインの現在の発行残高及び経済価値について、確たることを申し上げることは困難であり、また、諸外国において、ビットコインを法的に定義している国又は近い将来に法的な定義を行うことを表明している国が存在しているか否かについても、具体的には承知していない。

三について

 我が国において通貨とは、貨幣については通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律(昭和六十二年法律第四十二号)第七条で額面価格の二十倍まで、日本銀行券については日本銀行法(平成九年法律第八十九号)第四十六条第二項で無制限に、それぞれ法貨として通用するものとされているところであり、ビットコインは通貨に該当しない。
 民法(明治二十九年法律第八十九号)第四百二条第一項及び第二項における「通貨」とは、強制通用の効力(以下「強制通用力」という。)を有する貨幣及び日本銀行券であって、これを用いた金銭債務の弁済が当然に有効となるものをいうと解されており、強制通用力が法律上担保されていないビットコインは、当該「通貨」には該当しない。
 また、外国為替及び外国貿易法(昭和二十四年法律第二百二十八号)第六条第一項における「通貨」とは、強制通用力のある銀行券、政府紙幣又は硬貨と解されており、ビットコインは、これらのいずれにも該当しないため、日本円を単位とする通貨と規定する「本邦通貨」、本邦通貨以外の通貨と規定する「外国通貨」のいずれにも該当しない。
 さらに、その他の法律においても、ビットコインを通貨の定義に含めている規定は存在しない。
 また、ビットコインは通貨ではなく、それ自体が権利を表象するものでもないため、ビットコイン自体の取引は、通貨たる金銭の存在を前提としている銀行法(昭和五十六年法律第五十九号)第二条第二項に規定する銀行業として行う行為や、有価証券その他の収益の配当等を受ける権利を対象としている金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第二条第一項又は第二項に規定する有価証券等の取引には該当しない。
 その他の法律においても、ビットコインを明確に位置付けているものは存在しないと承知している。

四について

 ビットコインを対価として債務の弁済に使用することを一律に禁止する法律は存在しないと承知している。
 お尋ねの1について、個別具体的な課税関係については、個々の事実関係に基づき判断すべき事柄であり、また、お尋ねの「ビットコインによる取引」の内容が明らかでないことから、一概にお答えすることは困難であるが、一般論としては、所得税法(昭和四十年法律第三十三号)、法人税法(昭和四十年法律第三十四号)、消費税法(昭和六十三年法律第百八号)等に定める課税要件を満たす場合には、課税の対象となる。
 お尋ねの2について、ビットコインの売買の仲介やビットコインと円貨又は外貨との交換、ビットコインを預かる「口座」の開設及び当該口座間でのビットコインの移転については、銀行法第十条第一項各号、同条第二項各号及び第十一条各号に規定する銀行が営むことができる業務には該当しない。
 お尋ねの3について、ビットコインがお尋ねの「投資対象」として適当であるか否かは別として、金融商品取引法第三十五条第二項第六号及び同項第七号に基づく金融商品取引業等に関する内閣府令(平成十九年内閣府令第五十二号)第六十八条第十九号は、第一種金融商品取引業又は投資運用業を行う金融商品取引業者が行うことができる業務として、有価証券又はデリバティブ取引に係る権利以外の資産に対する投資として、財産の運用を行う業務を規定している。

五について

 犯罪の成否については、捜査機関が収集した証拠に基づいて個々に判断すべき事柄であるが、お尋ねの「マネーロンダリングに使われた場合」が組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(平成十一年法律第百三十六号)第十条第一項に規定する「犯罪収益等」の「取得若しくは処分につき事実を仮装し、又は犯罪収益等を隠匿した」に該当する場合には、同項の罪が成立することがあるものと考えられる。また、犯罪による収益の移転防止に関する法律(平成十九年法律第二十二号)は、同法第二条第二項に規定する特定事業者に対し、顧客等との一定の取引について、ビットコインの使用の有無にかかわらず、本人特定事項等の確認等の義務を課している。
 三についてでお答えしたとおり、ビットコインを通貨の定義に含めている法律の規定は存在しないが、そのことがお尋ねの「マネーロンダリング対策の不備の原因」となり得るか否かについては、ビットコインの使用実態等が明らかでない現段階でお答えすることは困難である。

六について

 お尋ねの「ビットコインと、日本円又は米国ドル等外国通貨との交換市場は、国内にも存在する。こうした交換市場の開設やそこで行われる取引」を一律に禁止する法令は存在しておらず、そのような市場の開設や取引の民事法上の効力及び法令違反の有無については、個別具体的な事情により判断されることになり、一概にお答えすることは困難である。

七について

 お尋ねの「ビットコインと、日本円又は米国ドル等外国通貨との交換を勧誘することは、虚偽の投資又は無限連鎖講等の勧誘行為等に値するもの」として一律に刑事罰を科す法律は存在せず、当該交換を勧誘することが刑事罰の対象となるか否かは、個別具体的な事情により判断されることになる。また、三についてでお答えしたように、ビットコイン自体の取引は有価証券等の取引に該当しないため、当該交換を勧誘することは、金融商品取引法等の金融関連の法律による「業者登録」や「勧誘規制」の対象とはならない。