質問主意書

第186回国会(常会)

質問主意書


質問第一八四号

環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十六年六月二十日

牧山 ひろえ   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に関する質問主意書

 現在交渉中の環太平洋戦略的経済連携協定(以下「TPP」という。)は、国民生活と日本の国益に重大な影響を与えることが想定される。ついては、TPPの交渉内容やその経済効果について、以下質問する。

一 TPP交渉に関し、衆参両院の農林水産委員会が議決した、「環太平洋パートナーシップ(TPP)協定交渉参加に関する決議」やTPP交渉参加に関する自民党外交・経済連携調査会の決議のいずれにおいても、国の主権を損なうようなISD条項は合意しない旨明言している。ここで言う趣旨は、ISD条項はそれ自体が国の主権を損なうものであるから合意しないということなのか、ISD条項には国の主権を損なうものと国の主権を損なわないものがあり、国の主権を損なうものには合意しないということなのか、政府の見解を明らかにされたい。

二 ISD条項のうち、国の主権を損なうものには合意しないとの見解の場合、どのような内容があれば、国の主権を損ない、逆にどのような内容であれば国の主権を損なわないのか、政府の見解を明確に示されたい。
 また、二〇一四年四月十四日の参議院決算委員会において、私の質問に対し、甘利明国務大臣は、ISDの内容が公約に抵触するかの判断は「最終的には議会でされる」との答弁を行っている。それは当然であるとしても、質問には答えていない。質問の趣旨は、民主主義制度下の政権として、公約を順守する責任を負っている安倍政権が、公約を交渉に反映するための具体的認識の内容を問うているのであり、この点について明確に答弁されたい。

三 前記二の決算委員会において、私のISD条項に関する質問に対し、甘利明国務大臣は「日本としては、政府の方針として、このISDS条項は日本が投資をする際にどうしても必要なものだというふうに認識しておりますし、TPPの中においてもそう主張いたしております。」と答弁している。TPP交渉における日本の方針として、ISD条項を含める主張を行っているとしか解釈できないが、そのような認識でよいか。

四 政府は、TPP加入による経済効果として、GDP換算で〇・六六パーセント、金額ベースにして三・二兆円増加すると試算している(平成二十五年三月十五日内閣官房発表)。その後、平成二十六年四月十二日に、日米事前協議が合意され、米国の自動車関税がTPP交渉における最も長い段階的な引き下げ期間によって撤廃され、かつ、最大限に後ろ倒しされることが規定されている。この合意を含むと、経済効果はどの程度の削減となるのか、政府の試算を示されたい。

  右質問する。