質問主意書

第186回国会(常会)

質問主意書


質問第一五四号

我が国の年金に係る財政検証に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十六年六月十八日

櫻井 充   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   我が国の年金に係る財政検証に関する質問主意書

 平成二十六年六月三日に厚生労働省から「国民年金及び厚生年金に係る財政の現況及び見通し」(以下「財政検証結果」という。)が示された。年金の持続可能性を高めるためには、これからの経済成長率や出生率その他多くの指標をどのように予測するかが大きな鍵を握っている。しかし、平成二十一年に行った財政検証結果においては、最悪のケースでも物価は一パーセント、賃金は二・一パーセント上昇するとの見通しであったが、大きく乖離した結果となった。それにもかかわらず、今回の財政検証結果におけるシミュレーションも甘い想定であるように感じている。そこで、以下質問する。

一 年金財政の試算をするためには、出生率や寿命などの人口動態に関するものや、経済成長率、賃金上昇率、運用利回りその他多くの指標を予測する必要性がある。これらの指標において平成二十一年の財政検証における試算と実績の違いを具体的に示されたい。また、想定から外れた原因について、政府の見解を明らかにされたい。

二 今回の財政検証において運用利回りをシミュレーションする上で、長期金利及び短期金利、株価指数であるJPX日経四百若しくはTOPIXはどのように推移しているものとして計算したのか明らかにされたい。

三 持続可能な年金制度とするためには、高めの成長を目指す経済政策とは異なり、前提とする成長率は慎重な数値を用いることが、年金財政の悪化を早期に予防するためにも、そして国民の信頼を獲得するためにも重要であると考えるが、いかがか。

四 現在の高齢者の所有する金融資産は個人金融資産の半分を占める状況となっている。一方、現在の現役世代は、特に若年層を中心に非正規社員の増加や経済事情の悪化により生涯賃金が大幅に減少しているため、十分に預貯金を蓄えることが難しい現状にある。所得代替率五十パーセントを超えるとされる各ケースの給付水準調整の終了年度において、現在の若年層にとって将来生活するに十分な水準といえるのか、明らかにされたい。また、所得代替率が今後下がるにつれ、生活保護者がどれだけ増減すると考えているのか、政府の見解を明らかにされたい。

五 国と地方の共済年金財政の現在の積立比率は厚生年金財政よりも高い。このような結果となった理由を明らかにされたい。

  右質問する。