質問主意書

第186回国会(常会)

質問主意書


質問第一四三号

分譲マンションの高圧一括受電導入における諸問題に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十六年六月十七日

紙 智子   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   分譲マンションの高圧一括受電導入における諸問題に関する質問主意書

 現在、首都圏を中心に全国的に分譲マンションの高圧一括受電の導入が進み、それに伴うトラブルも頻発している。高圧一括受電とは、民間の電力会社が東京電力を始めとする九電力会社から単価の安い高圧電力契約を結び、変圧してマンション住民に供給するというもので、それに伴いマンション共用部の電気料金を安くするというものである。
 九電力会社から供給される電力ではないため、民間電力会社が設置する受電設備は、自らの保安確保及び波及停電事故防止のため、技術基準遵守義務等の規制を受け、導入時の長時間の停電と数年に一回の数時間の停電を伴う点検が義務化されている。そのため、マンション住民は、導入時と数年に一回の停電リスクを負うことになる。この停電リスクは、計画停電を経験したマンション住民にとってみれば、決して見過ごすことができないものである。在宅医療が広がり、人工呼吸器を装着している患者には、数時間の停電でも命に関わるものである。また、自宅でIT関連の仕事をしている人にとっては、業務妨害にもなる。そのため、分譲マンション住民の中には、高圧一括受電を望まない住民が存在する。しかし、現状は、マンション管理組合総会で、過半数の賛成があれば、高圧一括受電が導入される。一方で、この高圧一括受電は、民間の電力会社と全てのマンション住民との電気利用契約が締結されないと発足しない。そのため、停電リスクを嫌い、契約締結を拒否しているマンション住民に対して、電力会社職員による契約締結の強要や果ては訴訟を提起するなどの脅迫行為が頻発している。このような事態は、是正されなければならない。ついては、以下質問する。

一 政府は、高圧一括受電を業としている民間電力会社の実態を把握しているのか。

二 管理組合総会での高圧一括受電導入の議決は、住民の民間電力会社との契約行為に対してもその議決の効力が及ぶのか。

三 高圧一括受電を業としている民間電力会社の中には、契約締結を拒否しているマンション住民に対して、「区分所有法上の共同利益に反する行為として訴訟も辞さない」との文書で脅迫をして、契約締結を迫る悪質な会社が存在している。この会社は、管理組合の理事会で、他のマンションでも自らこのような脅迫行為の効果があったと語っており、被害は広範囲に及んでいると思われる。このような違法な行為を是正するべきと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

四 政府は、高圧一括受電マンションにおける停電リスクについて、民間電力会社に対して、点検時及び導入時の電源車の配置を義務付け、マンション住民の希望に応じて、停電リスクを回避させる考えはないか。

五 政府は、高圧一括受電マンションにおける無停電点検の可能性を検討していると承知しているが、その検討状況と無停電点検の導入の可能性について、明らかにされたい。

  右質問する。