質問主意書

第186回国会(常会)

質問主意書


質問第一二三号

循環型社会形成推進交付金(復旧・復興枠)の交付状況とがれき広域処理促進効果に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十六年六月九日

吉田 忠智   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   循環型社会形成推進交付金(復旧・復興枠)の交付状況とがれき広域処理促進効果に関する質問主意書

 東日本大震災によって多くの人命が失われ、また建物を始めとする多大な財物が津波によって破壊され流失したことは、三年を経過した現在もいまだ記憶に新しい。震災の犠牲となられた方々に対し、ここに改めて哀悼の意を表するものである。
 この大災害によって発生した災害廃棄物の広域処理を促進するためとして、被災県内以外の市町村等にも交付された循環型社会形成推進交付金(以下「当該交付金」という。)の復旧・復興枠及びこれに伴って交付された震災復興特別交付税の交付状況と効果について、幾つもの疑義が生じていることは、誠に残念なことであるが、不正・不当な交付の有無をただすとともに、交付の効果について適切な評価を下すことは、被災地復興と被災者支援の今後のために、是非とも必要なことと考える。そこで、以下質問する。

一 平成二十四年度当該交付金を復旧・復興枠で交付された市町村、特別区及びこれら地方公共団体が廃棄物処理のために形成する一部事務組合(以下「市町村等」という。)は、合計七十五団体であるとされるが、この市町村等のうち、①特定被災地方公共団体である県内の市町村等が実施する事業として交付を受けた市町村等、②ア諸条件等が整えば災害廃棄物の受入れが可能と考えられる処理施設の整備事業及び②イ既存施設で処理する予定であった廃棄物を処理することとなる可能性がある処理施設の整備事業に対して交付を受けた市町村等はいずれか、漏れなく示されたい。

二 「循環型社会形成推進交付金復旧・復興枠の交付方針について」(平成二十四年三月十五日付け環廃対発第一二〇三一五〇〇一号環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部廃棄物対策課長通知。)には、諸条件等が整えば災害廃棄物の受入れが可能と考えられる処理施設の整備事業及び既存施設で処理する予定であった廃棄物を処理することとなる可能性がある処理施設の整備事業に関して、「なお、受入条件の検討や被災地とのマッチングを実施したものの、結果として災害廃棄物を受け入れることができなかった場合であっても、交付金の返還が生じるものではありません。」とあるが、この「受入条件の検討」には、災害廃棄物の受入れの可否の検討が含まれるのか。
 受入れの可否の検討が含まれる場合には、受入れの可否を検討した上で、「受け入れない」と決定した市町村等や、受入れの可否についての結論を出すことができなかった市町村等という、災害廃棄物処理に関しては東日本大震災からの復興に何ら貢献する意思を表していない市町村等に対して当該交付金を復旧・復興枠で交付し、その返還を求めないことになる。これは、震災復興特別会計の趣旨に反し、また、東日本大震災復興基本法の精神に悖ることであると考えられるが、いかがか、政府の見解を示されたい。

三 既存施設で処理する予定であった廃棄物を処理することとなる可能性がある処理施設の整備事業として当該交付金を復旧・復興枠で交付された事業の中には、既存施設が代替施設における当該廃棄物処理を必要とするようになると現実的に想定される日から、一年以上後の竣工になる事業がある。例えば、富山県高岡地区広域圏事務組合のごみ処理施設整備事業の竣工予定は平成二十六年九月三十日であって、実際に高岡市環境クリーン工場が災害廃棄物の本格処理を開始した平成二十五年四月二十六日と比較すれば約一年五か月後であり、また、大阪府堺市のクリーンセンター東工場第二工場改修事業の竣工は平成二十六年三月三十一日であるが、同市は災害廃棄物を受け入れなかったため、便宜的に同じ大阪府内の大阪市による本格処理開始日である平成二十五年二月一日と比較するならば、約一年二か月後である。このように長い期間を経た後に、既存施設で処理する予定であった廃棄物を当該施設で処理できる可能性があったのか。例示した高岡及び堺の各事業について、対象となる廃棄物の種類、その処理方法及び当該廃棄物の貯留の方法を明らかにされたい。

四 大阪府堺市の事例では、平成二十三年八月一日付けの「平成二十三年度三次補正に係る循環型社会形成推進交付金追加所要額調べ」によって行われた、平成二十五年度までに災害廃棄物の受入れが可能となる施設に関する調査において、災害廃棄物の受入れが可能である施設として追加の所要額の要望があったことが、同市に対する当該交付金を復旧・復興枠で交付した根拠の一つとされる。しかしながら、同市は、交付が実施された当該年度である平成二十四年度については、「平成二十四年度循環型社会形成推進交付金要望額の追加調査について」(平成二十四年一月六日付け)及び「平成二十四年度循環型社会形成推進交付金所要額調査について」(平成二十四年二月二日付け)に対して、復旧・復興枠での交付を希望しない旨回答している。前年度たる平成二十三年度三次補正に係る所要額調査を根拠として同市に対する当該枠での交付が行われた理由は何か、明らかにされたい。

五 大阪府堺市の事例では、同市が環境省に提出した申請書には、復旧・復興枠での申請とは何ら明記されていないが、これが同市に対する当該交付金を復旧・復興枠で交付した根拠の一つとされる理由は何か、明らかにされたい。

六 大阪府堺市の事例では、同市が連携団体として出席していた関西広域連合委員会において、広域連合及び構成府県は災害廃棄物の広域処理に協力していくこと等が決定されたことが同市に対する当該交付金を復旧・復興枠で交付した根拠の一つとされる理由は何か。広域連合において協力が決定されたことをもって構成指定都市への当該交付金復旧・復興枠の交付の根拠とするならば、同様に広域連合を構成する他の指定都市が、仮に災害廃棄物を受け入れないと決定していたとしても当該交付金復旧・復興枠の交付対象とすることになったのか、政府の見解を示されたい。

七 平成二十五年度当該交付金を復旧・復興枠で交付された市町村等について、市町村等の名称及び交付金額を各々明らかにされたい。
 また、そのうち、①特定被災地方公共団体である県内の市町村等が実施する事業として交付を受けた市町村等、②ア諸条件等が整えば災害廃棄物の受入れが可能と考えられる処理施設の整備事業及び②イ既存施設で処理する予定であった廃棄物を処理することとなる可能性がある処理施設の整備事業に対して交付を受けた市町村等はいずれか、漏れなく示されたい。
 さらに、この交付金交付に伴って震災復興特別交付税を交付された市町村等について、市町村等の名称及び交付金額を各々明らかにされたい。

八 平成二十三年度補正予算に係る当該交付金を復旧・復興枠で交付された市町村等はあるか。ある場合には、市町村等の名称及び交付金額を各々明らかにされたい。
 また、その中に、特定被災地方公共団体である県内の市町村等が実施する事業以外として復旧・復興枠での交付を受けた市町村等がある場合には、それぞれその交付理由を明示されたい。
 さらに、当該交付に伴って震災復興特別交付税を交付された市町村等がある場合には、市町村等の名称及び交付金額を各々明らかにされたい。

九 岩手県及び宮城県のがれき広域処理事業を実施した市町村等(以下「広域処理実施市町村等」という。)のうち、特定被災地方公共団体である県内の市町村等以外の市町村等について、市町村等の名称及び処理費用として岩手県又は宮城県から支出された金額を各々明らかにされたい。

十 平成二十三年度から二十五年度までにおいて、当該交付金を復旧・復興枠で交付された、特定被災地方公共団体である県内の市町村等以外の市町村等のうち、広域処理実施市町村等の割合を示されたい。

十一 広域処理実施市町村等のうち、平成二十三年度から二十五年度までにおいて、当該交付金を復旧・復興枠で交付された、特定被災地方公共団体である県内の市町村等以外の市町村等の割合を示されたい。

十二 前記十及び十一を踏まえ、当該交付金の復旧・復興枠による災害廃棄物の広域処理の促進効果は、当該交付金及びこれに伴って交付された震災復興特別交付税の交付総額に比していかほどであったか、政府の評価を明らかにされたい。

  右質問する。