質問主意書

第186回国会(常会)

質問主意書


質問第一二二号

健康保険組合の財政健全化の観点からの医療費支出の削減に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十六年六月九日

藤末 健三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   健康保険組合の財政健全化の観点からの医療費支出の削減に関する質問主意書

 平成二十六年四月十八日に健康保険組合連合会から「平成二十六年度健保組合予算早期集計結果の概要」(以下「概要」という。)が公表された。概要は、平成二十六年四月一日現在、存在する千四百十組合ベースの平成二十六年度予算状況を推計し、前年度予算と比較した結果をまとめたものである。概要では、平成二十六年度は、三千六百八十九億円の経常赤字であり、高齢者医療制度創設以降、七年連続大幅赤字、累計赤字は二・七兆円、高齢者医療制度等への拠出額は、七年間で二十兆円を超え、健康保険組合はその約八割が赤字だとされている。
 その背景には高齢化、医療の高度化等により医療費が毎年一兆円程度増加していることがある。このような健康保険組合をめぐる厳しい状況を踏まえ、健康保険組合は保険料の徴収と医療給付だけではなく、その機能を十分に発揮し、医療の質や効率性の向上に向けた役割を積極的に果たさなければならないと考え、自ら取組を始めている。
 健康保険組合の持続可能性を維持する観点から、健康保険財政への政府の取組について、以下質問する。

一 平成十三年、保険料の効率的活用、良質な医療の確保、効果的な保険事業による健康づくりの増進、という保険者機能の原点を追求することを目的に、有志の健康保険組合により、一般社団法人保険者機能を推進する会が設立された。同会では健保財政の健全化に取り組んでいるが、このような健康保険組合の自主的な医療費の効率化等に関する活動に対する政府の評価を示されたい。

二 医療費の抑制のためには、患者が疾患に対応した適切な医療を受けることで治療期間が短縮されること等が必要である。ある大手通信会社の健康保険組合で患者を適切な病院に紹介する場合をシミュレーションした結果、入院医療費の十パーセント、金額にして年間二十二億円の削減が見込まれたという。ここで使われているデータは、厚生労働省管轄の中央社会保険医療協議会診療報酬調査専門組織(DPC評価分科会)が出したものであり、データとして信憑性の高いものである。こういったDPC評価分科会のデータを積極的に国民に周知し、被保険者が自ら意識して医療費削減をするよう促すべきであると考えるが、政府の見解を示されたい。

三 現在でも健康保険組合の約八割が赤字である中、現在政府で検討されている公的医療保険制度改革において、総報酬割の導入が検討されている。総報酬割が導入された場合、健康保険組合に対してさらなる負担を求めることになるが、このことは、健康保険組合の財政、保険料に大きな影響を及ぼし、健康保険組合の持続可能性の観点から問題があると考えるところ、政府の見解を明らかにされたい。

四 平成二十七年度からデータヘルス計画の本格的な取組が予定されている。同計画は保険者がレセプト等のデータを分析し、PDCAサイクルにより効率的な保健事業を実施することを目的としている。生活習慣病の予防、重症化防止等が図られることが期待されるが、これにより医療費がどの程度抑制できると考えられるか、政府の見解を明らかにされたい。

  右質問する。