質問主意書

第186回国会(常会)

質問主意書


質問第七八号

食品中のセシウム一三七による健康被害に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十六年四月十八日

山本 太郎   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   食品中のセシウム一三七による健康被害に関する質問主意書

 政府は、食品に含まれる放射能によって頭痛や足痛などの痛みが出るというNPO法人「食品と暮らしの安全基金」(以下「安全基金」という。)の報告に関して、私が提出した「食品の放射能汚染による健康障害に関する質問主意書」(第百八十六回国会質問第一四号)に対する答弁書(内閣参質一八六第一四号。以下「答弁書」という。)で「承知していない」し、「お尋ねのような資料はない」と述べている。
 安全基金は、セシウム一三七による汚染の少ない食品を食べさせることによって、頭痛と足痛を改善させており、二つの症状が起きた原因はセシウム一三七であると考えられるところ、これと同様な医療がアレルギーの分野で行われている。すなわち、アレルギー症状が出ている食物アレルギーの子の食事から、アレルギー源と考えられる食材を取り除いてアレルギー症状が治まった場合、アレルギー源は、その食材だったと特定されることとなる。
 安全基金の小若順一代表は二〇一三年に、二つの学会で招待講演を行っている。
 まず、二〇一三年一月二十五日に開かれた日本無菌生物ノートバイオロジー学会で、食品中のセシウム一三七が一キログラム当たり十ベクレルを超えると、体に痛みが出ていると報告した。
 続いて、二〇一三年六月十二日には、第八回アジア太平洋臨床栄養学会で、食品中のセシウム一三七が一キログラム当たり一・一ベクレルを超えると頭痛が出たことから年間〇・〇一一ミリシーベルトの被ばく量で痛みが出たと報告している。
 両学会が小若代表を招聘して健康被害が出たことを報告させたことは、専門家である両学会幹部が国民の健康を考えるときに重要な情報であると、安全基金の調査を高く評価していることを示している。
 それにもかかわらず、政府は答弁書において「承知していない」としたので、以下質問する。

一 首相官邸ホームページには、「新たな規制値では、(中略)さらに厳しい一〇〇ベクレルまで引き下げられました」とあり、「健康への影響はないと一般的に評価され、安全性は確保されています」との記載もある。
 ところが、食品中にセシウム一三七が一キログラム当たり一・一ベクレルを超えると頭痛が出たことを安全基金が発見したことから、「新たな規制値」の値であっても健康に影響が出ることになり、現行基準は適切でなくなったと考えられるが、政府の見解を示されたい。

二 食品中の放射性物質の基準値は、広島、長崎でがん死の増加を確認できなくなる百ミリシーベルトに安全率を考慮して、追加被ばく量が年間一ミリシーベルトを超えないように設定して、安全性を確保している。
 ところが、安全基金が頭痛が出ることを発見した被ばく量は食品一キログラム当たり〇・〇一一ミリシーベルトで、これまでの基準より桁違いに低い。その理由は、自覚症状である痛みが出ることを調査したためである。
 痛みが出ることを、がん死を調べたデータで科学的に否定することはできないと考えるが、政府の見解を示されたい。

三 「痛み」は健康影響の一種なので、前記一の「健康への影響はない」との表現は、痛みを防ぐことができる新基準が設定されるまでは慎む必要があると考えるが、政府の見解を示されたい。

四 安全基金の調査報告が事実であるか否かを、政府はウクライナで調査し、事実である場合には、福島で同様の被害が起きないように対策を取る必要があると考えるが、政府の見解を示されたい。

五 安全基金が発見したような自覚症状が福島県民に出ているのかどうか心配である。
 福島県民の被害を防ぐには、福島県民健康管理調査の項目に、目まい、頭痛、失神、鼻血、胸痛、腹痛、嘔吐、胸やけ、食欲不振、足痛、腰痛、肩こりの項目を追加して、自覚症状を継続して調査するべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

  右質問する。