質問主意書

第186回国会(常会)

質問主意書


質問第四七号

「石綿による健康被害の救済に関する法律第三十七条第一項の一般拠出金率の改定案」に関する再質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十六年三月十四日

川田 龍平   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   「石綿による健康被害の救済に関する法律第三十七条第一項の一般拠出金率の改定案」に関する再質問主意書

 私が二〇一四年二月十三日に提出した「「石綿による健康被害の救済に関する法律第三十七条第一項の一般拠出金率の改定案」に関する質問主意書」(第百八十六回国会質問第一七号。以下「質問主意書」という。)に対する同月二十一日付けの答弁書(内閣参質一八六第一七号。以下「答弁書」という。)が提出された。答弁書に関連して、以下質問する。

一 質問主意書の質問一に対して、答弁書では、徴収金率を引き下げることは議題に挙がっていたとして、質問主意書での指摘が妥当ではないとしている。答弁書で政府が提示した会議の資料では、現行の基金への拠出枠組みを提示しており、確かに「今後の認定者数の推移等を踏まえ、どのように整理するか」と記されている。ただし、具体的に徴収金率の引下げが論点に挙げられているわけでもなければ、審議の中で委員はおろか事務局からも提案されていない。仮に、提案がされ、議論も行われている場合には、具体的に会議の日時、発言者及び発言内容を示されたい。

二 質問主意書の質問二及び三に対して、答弁書では、「お尋ねの事項については、相手方の権利利益を害するおそれがあることから、お答えすることは差し控えたい」とある。そもそも、質問主意書で示した佐藤敏信政府参考人の答弁からも分かるように、政府は特別事業主の企業名についても当初非公表としていたが、後に公表へ転じた。また、特別事業主の企業名を非公表としていた際にも答弁書と同様に「相手方の権利利益を害するおそれがある」としていた。本件と特別事業主名の公開の件では、何が異なるのか、佐藤敏信政府参考人が答弁で示した石綿による健康被害の救済に関する法律(以下「救済法」という。)の規定の趣旨を踏まえて示されたい。

三 質問主意書の質問四に対して、答弁書では、「理由は不明である」としている。二〇一〇年当時の泉陽子石綿健康被害対策室長と同様に、肺がん申請件数が少ないこと及び当時からの中皮腫と肺がんの申請件数の比率が拡大していることに対して、改善の必要性を認識しているのか明らかにされたい。同時に、必要性を認識している場合には、この間に講じてきた対策を含めて今後の対策につき、政府の見解を示されたい。

四 質問主意書の質問五に対して、答弁書では、「指定疾病に起因して死亡した者の遺族から(中略)特別遺族弔慰金及び特別葬祭料の支給の請求がなされ、死亡の数年後に認定される場合があること等」を理由に、救済法上の患者補捉率の劇的な低下に対して、「御指摘のような問題は生じていない」としている。しかし、二〇一〇年当時の中央環境審議会環境保健部会石綿健康被害救済小委員会(以下「小委員会」という。)の第八回会議に提出された「各制度における認定等の状況」で示されている数値と、それに対応する形で認定状況の変化を報告した二〇一三年十一月十五日付けの答弁書第四六号(内閣参質一八五第四六号)で示された人口動態統計における中皮腫死亡者と各制度における認定者の割合を数値で比較すると、二〇〇六年の中皮腫死亡者分では約七十パーセントが約七十二パーセント、二〇〇七年のそれでは約六十五パーセントが約六十七パーセントと、わずかしか増加していない。同割合については、二〇〇八年以来、毎年、急激な下落を経ており、二〇一二年には五十パーセント以下に落ち込む可能性も示している。右の数字からは、被害者を制度の網に捕捉できていないと考えられるが、このような実態があっても運用上は問題はないとの認識であるのか。問題があると考えている場合には、このような結果となっている原因について、政府の見解を示されたい。また、これまでの対策の経過を明らかにした上で、今後の対応を併せて示されたい。

五 二〇一三年四月に小委員会がまとめた「石綿健康被害救済制度における指定疾病に係る医学的判定に関する考え方について」では、「従事歴については、肺がんに係る申請内容を分析するなど、更に研究することが望まれる」と報告している。この点について、具体的にどのような研究、あるいは関連する取組がなされているのか示されたい。

  右質問する。