質問主意書

第186回国会(常会)

質問主意書


質問第三四号

復帰前の沖縄駐留軍労働者の石綿健康被害に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十六年三月四日

糸数 慶子   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   復帰前の沖縄駐留軍労働者の石綿健康被害に関する質問主意書

 本年一月の新聞報道によれば、沖縄が昭和四十七年に日本に復帰する前の駐留軍労働者(以下「復帰前労働者」という。)の労務管理カード(以下「軍雇用員カード」という。)約二十万人分が沖縄県公文書館に保管されているものの、石綿関連作業に従事し石綿関連疾病を発症した者への救済に活用されないでいるとされている。
 そこで、以下質問する。

一 復帰前労働者が石綿関連作業に従事したことにより石綿関連疾病を発症した場合、労働者災害補償保険法は適用されず、一九六一年高等弁務官布令第四十二号(以下「布令第四十二号」という。)の労働者災害補償が適用されるものと理解してよいか。
 一方、厚生労働省は、平成二十四年十一月七日の衆議院厚生労働委員会において、復帰前労働者が存命であって加療中の場合には、石綿による健康被害の救済に関する法律(以下「石綿救済法」という。)の救済給付により医療費等が支給され得る旨答弁しているが、そもそも布令第四十二号の労働者災害補償に基づく補償は、現在において行われる見込みがあるのか、これまでの給付実績も含め、併せて示されたい。

二 「沖縄の復帰前に労働者災害補償の適用を受けていた米軍関係労働者に係る石綿による健康被害の救済に関する法律の適用について」(基労発〇八二六第一号 平成二十三年八月二十六日)によれば、死亡した復帰前労働者の遺族が時効により布令第四十二号による補償を受ける権利を失った場合には、石綿救済法に基づく特別遺族給付金の支給対象とするとされている。その申請手続においては、石綿関連作業に従事したことを証明することが必要と考えられるが、必要とされるものを具体的に明らかにされたい。
 また、死亡した復帰前労働者の遺族への給付実績も、併せて示されたい。

三 沖縄県公文書館で管理されている軍雇用員カードは、死亡した復帰前労働者が石綿関連作業に従事したことの証明になると考えられるが、軍雇用員カードの活用について、厚生労働省は、平成二十六年二月十九日の衆議院予算委員会において、カードが約二十万人分という膨大な数であり、また、古い記録であること、さらに個人情報保護などの観点により沖縄県から情報提供の了解を直ちに得ることが難しいといった問題がある旨答弁している。
 一方、石綿救済法の特別遺族給付金の請求期限は平成三十四年三月二十七日となっている。復帰前労働者を特定するために大きな手がかりとなる軍雇用員カードの活用が困難であるとする一方で、沖縄の歴史的経緯を踏まえ、また、復帰前労働者を救済する意向があるならば、石綿救済法とは別の法制度を検討する必要があると考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

  右質問する。