質問主意書

第186回国会(常会)

質問主意書


質問第三一号

公益通報者保護法に関する再質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十六年二月二十五日

川田 龍平   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   公益通報者保護法に関する再質問主意書

 私が提出した「公益通報者保護法に関する質問主意書」(第百八十六回国会質問第六号)で触れた事案について、報道によれば、田村憲久厚生労働大臣は国家公務員法の守秘義務に違反するとの認識を示し、厚生労働省の依頼で東京大学が進める調査の結果を見て、処分内容を検討するとのことである。
 他方、今回も全く役に立たなかった公益通報者保護法については、昨年の特定秘密の保護に関する法律(以下「特定秘密保護法」という。)の制定で内部告発を行う者が萎縮するとの懸念が各方面から表明されており、担当の森まさこ内閣府特命担当大臣には、公益通報者に違法に報復した側への処罰や公益通報のための情報持ち出しの免責の明記などを盛りこむなどの改正を行うべきとの意見が寄せられていると承知している。そこで、以下質問する。

一 答弁書(内閣参質一八六第六号)では、「Eメール」が「国の行政機関の通報処理ガイドライン(外部の労働者からの通報)」(以下「ガイドライン」という。)が適用される通報に該当しないとのことであったが、その理由について、二月十三日の国会答弁で田村厚生労働大臣は、労働者以外からの通報については、受理「できる規定」である旨答弁した。これは「しなければならない」規定ではないから、受理しなくてもガイドラインに抵触しないとの趣旨と受け取ったが、ではなぜ受理「できる」のに「しなかった」のか。

二 前記一について、公益通報者保護法における「公益通報」に該当しない場合でも、ガイドラインでは、「2(6)公益通報以外の通報の取扱い」の①において、労働者ではない者からの通報であっても要件を満たすものであれば調査及び適当な措置をとるよう努める、とされている。当該要件を満たさないと判断する場合には、その理由を示されたい。

三 前記二と同じく、「公益通報」に該当しないとしても、ガイドラインの「3(1)通報の受付と教示」の①では、通報者の秘密保持を規定しており、③では受理しないときは受理しない旨又は情報提供として受け付ける旨を、通報者に対し通知すべきことを定めている。通報者の同意を得ないままプロジェクト責任者に告発のEメールを提供する行為は右規定に反すると考えるが、いかがか。

四 ガイドラインにおいて、公益通報者保護法の対象となる通報に該当しない場合の対応が示されているということは、同法の対象となる通報でない場合にはガイドラインが適用されないという意味ではなく、同法の対象ではない通報に対しても通報者を保護し、最小限提供された秘密を守るべきことを規定していると考えるが、いかがか。

五 告発のEメールをプロジェクト責任者に提供したことは、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律における、行政機関が職務上取得した「保有個人情報」の、本人の同意を得ない第三者への提供に該当したと考えるが、いかがか。

六 森大臣は先日の会見で本事案に関連し、「公益通報であれ相談であれ苦情であれ、行政機関におよそ国民から情報が寄せられた場合に、それが他人に流出してしまうということはあってはならないことです。(中略)公益通報に当たらない内部通報もあるわけですね、(中略)ガイドラインを見直して徹底をしてまいりたいと思います」と述べているが、昨年の特定秘密保護法制定時の国民の懸念を払拭するためにも、抜本的な法改正を行うべきと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

  右質問する。