質問主意書

第186回国会(常会)

質問主意書


質問第二九号

「金融・資本市場活性化に向けての提言」の具体的な実施計画及び進捗に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十六年二月二十五日

藤末 健三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   「金融・資本市場活性化に向けての提言」の具体的な実施計画及び進捗に関する質問主意書

 安倍内閣の経済財政政策(いわゆる「アベノミクス」)においては、「三本の矢」として「大胆な金融政策」、「機動的な財政政策」、「民間投資を喚起する成長戦略」を掲げている。
 これまでのところ、「大胆な金融政策」と「機動的な財政政策」については、一定程度の効果が現れていると見ることもできる。しかし、企業・家計の成長期待を定着させ、実体経済の成長を実現し、持続的な経済成長に回帰させるためには、「第三の矢」である「民間投資を喚起する成長戦略」、それも具体的な政策の速やかな実現が不可欠である。
 金融・資本市場の活性化も、こうした成長戦略の重要な分野の一つであることは言うまでもない。こうした観点から、平成二十五年(二〇一三年)十二月十三日に、金融・資本市場活性化有識者会合が取りまとめて公表した「金融・資本市場活性化に向けての提言」(以下「本提言」という。)は、言わば金融版の成長戦略として位置付けられる。今後は、本提言を受けて具体的な実施計画の策定を早期に図るとともに、策定した計画及びその進捗についての積極的な情報開示を行い、市場参加者や企業等との間で、今後の金融・資本市場の活性化についての認識を共有することが極めて重要である。
 そこで、本提言の具体的な実施計画及び進捗に関して、以下質問する。

一 本提言では、「豊富な家計資金や公的年金等が成長マネーに向かう循環の確立」を始めとする四つの分野について、目指すべき二〇二〇年の姿を想定した上で、二〇一四年から直ちに着手すべき施策と次のステップを明示している。
 他方、金融業の中長期的な在り方については、金融審議会「我が国金融業の中長期的な在り方に関するワーキング・グループ」から、「我が国金融業の中長期的な在り方について(現状と展望)」と題する報告書(以下「金融審議会報告」という。)が平成二十四年(二〇一二年)五月二十八日に公表されている。
 政府は、金融審議会報告を踏まえて、金融・資本市場及び金融業の機能強化に関してどのような具体的取組を行ってきたのか。また、金融・資本市場活性化有識者会合が本提言をまとめるに当たって、金融審議会報告以後の取組をどのように評価したのか、政府の認識を示されたい。

二 本提言では、第一段階として「直ちに着手し、二〇一四年からの最初の一年間程度で実行すべき課題」を数多く掲げている。このうち、「投資信託等」、「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)等の公的・準公的資金」、「海外年金ファンドとの共同投資」、「インサイダー取引規制」、「上場インフラファンド市場」、「国際会計基準(IFRS)」の各項目について、今後の具体的な実施計画の策定状況及び現時点の進捗を詳細に示されたい。

三 本提言の「結び」には、「目標を実現するためには、本提言の着実な実行に止まらず、この進展状況をフォローアップし、更なる施策を検討し積極的に講じていくなど、不断の取組みが求められる」とし、取りまとめ後も金融・資本市場活性化有識者会合での検討を継続していく方針が明らかにされている。
 既に本提言が公表されてから二か月以上が経過する中で、スピード感を持って課題の解決に臨む態度を明確にしなければ、市場参加者や企業等の期待に応えることは困難であると考えるが、今後の金融・資本市場活性化有識者会合での検討予定も含め、政府の方針を示されたい。

  右質問する。