質問主意書

第186回国会(常会)

質問主意書


質問第一七号

「石綿による健康被害の救済に関する法律第三十七条第一項の一般拠出金率の改定案」に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十六年二月十三日

川田 龍平   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   「石綿による健康被害の救済に関する法律第三十七条第一項の一般拠出金率の改定案」に関する質問主意書

一 私が二〇一三年十二月四日に提出した「「石綿による健康被害の救済に関する法律第三十七条第一項の一般拠出金率の改定案」に関する第三回質問主意書」(第百八十五回国会質問第八三号)(以下「質問主意書」という。)の質問六に対して、同月十三日付けの答弁書(内閣参質一八五第八三号)(以下「答弁書」という。)では「お尋ねの「特別事業主枠の拡大と徴収率の引上げ」については、平成二十二年七月二十八日に開催された第八回中央環境審議会環境保健部会石綿健康被害救済小委員会(以下「救済小委員会」という。)において、二段階方式を採っている事業者の負担の在り方を石綿健康被害救済制度(以下「救済制度」という。)に関する主な論点の一つとして挙げ、以後の救済小委員会において議論した経緯がある」とあるが、徴収率を引き下げることについては議論していない。徴収率を引き下げることを議題に挙げなかった理由を示されたい。

二 遅くとも、二〇一二年七月の段階では、いくつかの事業主等から徴収金の負担の引下げについて要望がなされているはずである。二〇一一年八月二十五日の参議院環境委員会における水野賢一議員の質問に対する佐藤敏信政府参考人の「平成二十年にこの石綿に関する健康被害の救済に関する法律が改正されまして、この中で、国は、国民に対し石綿による健康被害の救済に必要な情報を十分かつ速やかに提供するという規定が盛り込まれた、そういう趣旨がございますので、こういうことを考慮」したとの答弁を踏まえて、徴収金負担の引下げを要望した事業主並びにその要望の日時及び場所を明らかにされたい。

三 前記二に関連して、特定事業主からは石綿健康被害救済基金に係る拠出金に関して、見直しのスケジュールを明確にするように要望がなされていると承知しているところ、前記二の政府答弁を踏まえて、その企業名を明らかにされたい。また、当該企業が現在、特別事業主と一般事業主のいずれに該当している企業なのか明らかにされたい。

四 質問主意書の質問七に対して、答弁書では、二〇一〇年五月二十一日に開催された第七回救済小委員会における当時の石綿健康被害対策室長の発言について、「「中皮腫に対する肺がんの申請件数の比率が低いことを問題とし、改善すべき事項として捉えている」との御指摘は当たらない」とある。
 しかし当時の泉室長は、「ただ一つ事実として明らかなのは、救済法の肺がんの申請数が少ないということであります。療養者について見ますと、中皮腫の申請が三千二百三件なのに対しまして、肺がんはその半分以下で、千二百二十九件しか申請がないということでございますので、医療機関への啓発などについては、引き続き取り組む必要がある」と明確に肺がん申請件数の低さを問題としている。
 右発言における、二〇一〇年当時の肺がんの申請件数に対する中皮腫の申請件数は二・六一倍であるが、二〇一三年十二月三十一日現在の状況では肺がんの申請が千八百十七件に対して中皮腫の申請が五千四百五件であり、その差は二・九七倍に広がっている。泉室長の指摘が、その後の運用上において生かされていないことが明らかである。石綿による健康被害の救済に関する法律(以下「救済法」という。)上において、二〇一〇年当時から肺がんの申請件数が低いことが指摘されていながらその差が拡大している理由を示されたい。

五 私が二〇一三年十一月七日に提出した「「石綿による健康被害の救済に関する法律第三十七条第一項の一般拠出金率の改定案」に関する質問主意書」(第百八十五回国会質問第四六号)の質問四に対する、同月十五日付けの答弁書(内閣参質一八五第四六号)で示されている数値からも明らかであるが、人口動態統計に基づく中皮腫死亡者数と各制度における認定等の数の開きが年々拡大してきている。二〇〇五年の死亡者について救済・補償における補捉率が九割であるものが、近年の死亡者についてはそれが五割ほどと劇的に低下している。「隙間のない救済」を目指す救済法としては、制度運用上、深刻な問題が生じてきていると考えるが、政府の見解を示されたい。また、補捉率が劇的に低下している理由を明らかにされたい。

  右質問する。