質問主意書

第185回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第二六号

内閣参質一八五第二六号
  平成二十五年十一月一日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員藤末健三君提出外国資本による土地取得に対する規制の必要性に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員藤末健三君提出外国資本による土地取得に対する規制の必要性に関する質問に対する答弁書

一について

 政府としては、御指摘のような我が国の土地取得の規制の在り方について、関係府省庁の連携を図りつつ、制限の必要性や個人の財産権の保障、国際約束との整合性等の諸事情をも総合考慮した上で、検討していくこととしており、お尋ねについて現時点でお示しすることは困難である。

二について

 外国資本による我が国の土地取得の状況やその目的について網羅的に調査を行い、その詳細を把握することは必ずしも容易ではないが、例えば、森林については、農林水産省において、外国資本による森林取得に関する調査を平成二十二年以降毎年行っているところであり、また、自衛隊施設周辺については、防衛省において、常に関心を払い、当該施設に隣接する土地の現況の把握に努めてきているところである。

三について

 森林法(昭和二十六年法律第二百四十九号)においては、保安林制度や民有林における開発行為に対する許可制度等により、水源の涵養を始めとする森林の有する公益的機能の維持が図られるとともに、平成二十四年四月から、新たに森林の土地の所有者となった者の届出制度が開始され、外国資本によるものも含めて森林取得の状況を把握し、同法に基づく規制措置等の適切な運用を図ることができることとなっている。また、地下水源の保全に関しては、地方公共団体が地域の実情に応じて条例等により取り組んでいるところであり、これらの取組を通じた適正な地下水の管理が重要であると考えている。

四について

 国土利用計画法(昭和四十九年法律第九十二号)に基づく土地取引の規制に関する措置は、土地の投機的取引及び地価の高騰が国民生活に及ぼす弊害を除去し、かつ、適正かつ合理的な土地利用の確保を図ることを目的とするものであり、同法において御指摘のような措置を講ずることは適当でないと考えている。

五の1について

 御指摘の答弁は、世界貿易機関を設立するマラケシュ協定(平成六年条約第十五号)附属書一Bのサービスの貿易に関する一般協定第十七条が、他の加盟国のサービス及びサービス提供者に対する内国民待遇について規定していることに基づき、述べたものである。

五の2について

 お尋ねの「安全保障上の観点から、外国資本による土地取得に対して規制をかけること」の具体的内容が必ずしも明らかではなく、お答えすることは困難である。

五の3の前段について

 お尋ねの「外国資本による土地取得に対して態度を留保せずにWTOに加盟した国」の趣旨や「安全保障上の観点から、外国人や外国資本による土地取得に対して規制をかけている国」の具体的内容が必ずしも明らかではなく、また、土地取引に関し、第三国がどのような観点から規制を設けているかの詳細について、我が国として承知する立場にないため、お答えすることは困難である。

五の3の後段について

 我が国が近年締結した多くの投資協定又は経済連携協定においては、相手国において、日本国の国民又は法人が土地の取得又は賃貸借を禁止又は制限されている場合には、日本国における相手国の国民又は法人による土地の取得又は賃貸借について、同一又は類似の禁止又は制限を課することができるなどとされている。

六について

 御指摘の「静かな領土保全を行う「足元の安全保障」についての議論」の意味するところが必ずしも明らかではないが、第百八十三回国会提出の安全保障会議設置法等の一部を改正する法律案による改正後の国家安全保障会議設置法(昭和六十一年法律第七十一号)に基づき内閣に置かれる国家安全保障会議においては、我が国の安全保障に関する重要事項が審議されることとなる。
 御指摘の案件が我が国の安全保障に関する重要事項に該当すると判断される場合には、当該案件が同会議で審議されることはあり得ると考える。