質問主意書

第185回国会(臨時会)

質問主意書


質問第九四号

郵便事業に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十五年十二月六日

牧山 ひろえ   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   郵便事業に関する質問主意書

 日本郵政グループの将来を見据えるに当たって最も重視すべき視点は、利用者利便の向上と、日本郵政グループの企業価値の向上を通じた日本の国益の最大化であると考える。
 二〇一二年四月に、民自公の三党合意の下で成立した「郵政民営化法等の一部を改正する等の法律」(以下「改正郵政民営化法」という。)では、これまでの郵便に加えて貯金・保険の基本的なサービスもユニバーサルサービスの対象とし、三事業が郵便局で一体的に利用できるよう義務付けられるようになるなど、利用者利便の向上につながる内容が含まれており、また、同時に、日本郵政株式の売却益は東日本大震災の復興財源に充てることにもなっていることから、まさに日本郵政グループの企業価値の向上は、日本の国益の最大化に必要なものである。
 この認識を前提として、以下質問する。

一 米国通商代表部は、「二〇一三年外国貿易障壁報告書」において、改正郵政民営化法について、日本郵政グループと民間金融機関との「対等な競争条件に対する長年の懸念をさらに高めた」と、強い懸念を表明するとともに、「かんぽ生命が日本の保険市場の競争に与える負の影響につき長年懸念を有しており、改革の実施を引き続き注視している」と指摘している。
 明らかに、現状の郵政改革の方向性について、問題視していることが伺えるが、この米国の指摘・要求について、政府の対応方針を明らかにされたい。

二 先述したように、日本郵政株式の売却益は、東日本大震災の復興財源に充てられることになっているが、日本郵政グループ全体の経常収益は、平成二十年度の十九兆九千六百十七億円に比較し、平成二十四年度には十五兆八千四百九十一億円と、漸減を続けており、経常費用を削減することにより、経常利益を確保するという、縮小均衡に陥っているのではないかと懸念する。
 東日本大震災の復興財源としての日本郵政株式の売却収入を確実に確保するためには、日本郵政グループにおいて、将来の収益を増加させ、企業価値を向上させることが必要と考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

三 日本郵政の上場に向けて、金融二社が様々な業務展開を行うなどにより、企業価値を向上させることが期待されると考えるが、金融二社の積極的な事業展開について、政府の見解如何。
 また、日本郵政の収益性の強化のためにも、新規事業に係る認可申請の手続きの迅速化及び簡素化が必要だと考えるが、その点に関し、政府の認識を明らかにされたい。

四 世界各国が貿易を通じた結び付きを強めていく中で、日本郵政グループも、国際物流に積極的に乗り出し、新たな事業領域を開拓していくべきではないかと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

  右質問する。