質問主意書

第185回国会(臨時会)

質問主意書


質問第九二号

社会保障・税番号制度への地方自治体の対応促進に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十五年十二月五日

藤末 健三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   社会保障・税番号制度への地方自治体の対応促進に関する質問主意書

 「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」(平成二十五年法律第二十七号)、「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」(平成二十五年法律第二十八号)等により本年度導入が決定された「社会保障・税番号制度」(以下「マイナンバー制度」という。)については、国税庁の「法人番号システム」、法務省の「登記情報システム」等、政府のシステム調達が進んでいる。こうした中で、マイナンバー制度運用の窓口となる自治体でのシステム開発についても急ぐ必要がある。
 マイナンバー制度は、複数の機関に存在する個人の情報を同一人の情報であるということの確認を行うための制度であり、社会保障・税制度の効率性・透明性を高め、国民にとって利便性の高い公平・公正な社会を実現するための社会基盤となる。マイナンバー制度の導入は、今後の社会福祉の充実や財政問題の改善を図る上でも必ず成功させなければならない。こうした観点から以下質問する。

一 総務省は、自治体に対し、マイナンバー制度に関するシステム導入のスケジュールを「地方公共団体における番号制度の導入ガイドライン」として本年八月に提示した。同ガイドラインは、各自治体がシステム影響調査を行った上で、住民基本台帳システムは平成二十七年三月まで、税務、福祉等のその他のシステムは同年十二月までに、それぞれ改修を終えるように求めているが、各自治体の対応状況はどのようになっているのか。また、もし、各自治体の状況を把握してないのであれば至急状況を把握すべきであると考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

二 同ガイドラインは、マイナンバー制度のためのシステム導入とともに、複数の自治体でシステムを共同利用する「自治体クラウド」に取り組むことも求めているが、各自治体の対応状況はどうなっているのか。
 特に自治体クラウドについては、総務省は本年十月に個人番号制度導入と同時の自治体クラウド構築スケジュールについての参考モデルを作成し、各自治体に検討を求めているが、この中で、平成二十六年度からシステム共同化の検討を始める自治体向けのパターン2のスケジュールは、平成二十五年度中に参加自治体による協議会設立等を行い、平成二十六年九月までに共同化の検討とシステムの情報提供依頼(RFI)・調達を済ませ、加えて、住民基本台帳システムは平成二十七年三月までの半年間で先行的に自治体クラウドへ移行し、その他のシステムも同年六月までに移行を終えるとなっている。このようなスケジュールは実際に実行可能なのか、政府の見解を示されたい。

三 総務省が行った「新たな電子自治体推進のための情報化調査(速報値)」では、平成二十五年四月現在で住民情報関連システムと税務関連システムを自治体クラウドに移行済みの市区町村は全体の十パーセントにとどまっている。約二十八パーセントの自治体が移行に向けた導入作業中・検討中であり、約三十一パーセントの自治体が今後検討を行う予定であり、約三十一パーセントの自治体が自治体クラウドの検討を行う予定がないと回答している。また、自治体クラウドへの移行を検討中又は今後検討を行うと回答した自治体のうち、平成二十九年度以降に結論を出すとした自治体が約四十八パーセントとなっている。これでは全体のシステム導入に間に合わないと考えるが、具体的な対策・対応をどのように考えているのか、政府の見解を示されたい。

四 総務省は自治体の自律の観点から市町村のシステム移行計画作成に当たり都道府県が指導をするように促しているが、都道府県においてもそのシステム構築能力には著しい格差が生じている。その上、都道府県自体も自らのシステム導入に対応しなければならない。そのため、自治体に対する全面的な支援策が必要不可欠であると考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

  右質問する。