質問主意書

第185回国会(臨時会)

質問主意書


質問第八七号

特定秘密保護法案における適性評価に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十五年十二月四日

石上 俊雄   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   特定秘密保護法案における適性評価に関する質問主意書

 特定秘密の保護に関する法律案(以下「本法案」という。)に関連して、政権与党である自由民主党の幹事長が自身のブログで、本法案に反対するデモ活動に対して、「絶叫戦術はテロ行為とその本質においてあまり変わらない」と述べた。その後、修正発言はあったが、発言者の地位及び立場を考慮すると、今後本法案が成立した場合の運用において、労働組合などが行う同種の活動がテロリズムに該当すると解釈されるのではないかとの懸念が急速に広がっている。
 産業界では数多くの労働組合員が防衛装備品の製造業務に従事しており、その業務に特定秘密が含まれる場合、従事者は本法案第十二条に定める適性評価を受けることになる。憲法第二十八条で「勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する」と労働者の権利を定め、また同第二十一条で「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する」と表現行為の自由が保障される一方、かかる懸念が払拭されないままでは、労働者の権利である組合活動への参加に深刻な萎縮効果が起こりかねない。
 そこで、以下質問する。

一 適性評価では、労働組合に所属するかどうか、どのような組合活動にどの程度参加しているかなど関与の度合いは調査事項に一切含まれないと理解してよいか、政府の見解を明らかにされたい。

二 憲法第二十八条にいう団体行動である一切の争議活動及び組合活動は、本法案でいうテロリズムにあたらないと理解してよいか、政府の見解を明らかにされたい。

三 憲法第二十一条の表現の自由により正当とされる一切の表現活動は、本法案でいうテロリズムにあたらないと理解してよいか、政府の見解を明らかにされたい。

四 現在において労働組合員である事実若しくは過去において労働組合員であった事実、また、労働組合の活動に過去において参加・関与した事実若しくは今後その見込みや可能性があることをもって、本法案の適性評価において特定秘密の取扱いの業務を行った場合にこれを漏らすおそれがある者とみなされることは一切ないとの理解でよいか、政府の見解を明らかにされたい。

五 端的に言って、正当な組合活動に関係するだけでは、本法案における適性評価で問題となることは一切ないとの理解でよいか、政府の見解を明らかにされたい。

六 万が一、デモ活動が各種規制の範囲を不慮にして超えた場合であっても、本法案における適性評価で問題が生じることは一切ないとの理解でよいか、政府の見解を明らかにされたい。

七 万が一、適性評価で不適合との評価を受けた場合、評価対象者はその理由を通知される権利及びその内容に関して異議申立てをする権利を持つとの理解でよいか、政府の見解を明らかにされたい。また、異議申立てをしたことを理由として不利益な扱いを受けないとの理解でよいか、併せて政府の見解を明らかにされたい。

  右質問する。