質問主意書

第185回国会(臨時会)

質問主意書


質問第八五号

中国による防空識別圏設定に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十五年十二月四日

中西 健治   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   中国による防空識別圏設定に関する質問主意書

 十一月二十三日に中国政府は、東シナ海上空に防空識別圏を設定した旨、一方的な発表を行ったが、それに関連して、以下質問を行う。回答にあたっては、質問の項、号をまとめて回答することなく、各項、各号の一つ一つに対して回答することをあわせて要請する。

一 十一月二十三日に、国土交通省航空局交通管制部運用課航空情報センター(以下「航空情報センター」という。)が中国の発出したノータムを認識したおおよその時刻を明らかにされたい。

二 十一月二十三日に、航空局交通管制部運用課航空情報センターから本邦航空会社に対して当該ノータムに関する情報提供を行ったおおよその時刻を明らかにされたい。

三 十二月三日の参議院外交防衛委員会において、十一月二十三日に航空情報センターが本邦航空会社から当該ノータムに基づく飛行計画提出の取扱いに関する問い合わせを受けた際、「航空会社から問い合わせがあった段階におきましては、外務省、国土交通省も参加します関係省庁局長会議を開催しておりまして、政府全体として情報収集、分析に当たっていたところであります。このため、航空局としては、飛行計画提出に関する取扱方針について情報を有していない旨、回答をいたしました。」との答弁があった。

1 当該会議に外務省及び国土交通省から参加した部署を具体的に明らかにされたい。
2 中国政府の発表した「中華人民共和国政府東シナ海防空識別区の設置に関する声明」及び「中華人民共和国政府東シナ海防空識別区航空機識別規則に関する公告」を国土交通大臣及び当該会議に参加していた部署の局長が認識したおおよその日時を明らかにされたい。
3 当該会議で、中国がノータムを発出していること、その取扱いに関して本邦航空会社から問い合わせが来ていること、それに対して「飛行計画提出に関する取扱方針について情報を有していない」旨の回答をしたという事実は報告されたか。された場合にはおおよその日時を明らかにされたい。

四 十一月二十五日に外務事務次官から程駐日中国大使に対して抗議を行った。

1 抗議を行ったおおよその時刻を明らかにされたい。
2 外務事務次官は「民間航空機の安全が確保されることは当然であり、また、民間航空機に不当な義務を課すことがあってはならない。日本としては、これまでのルールどおりの運用を行っていく」と発言した旨、外務省は報道発表しているが、その時点において、外務事務次官は、本邦航空会社が中国に対して当該区域を通過する航空機の飛行計画を提出していたことを認識していたか。

五 十一月二十五日に国土交通省が本邦航空会社に対して、当該防空識別区の設定に係る飛行計画の提出の取止めを口頭で要請したおおよその時刻を明らかにされたい。

六 十二月三日の参議院外交防衛委員会において、国土交通省は中国が発出したノータムが「航空情報に当たらないということについては、政府の方針が定まった段階で、その旨口頭でお知らせしているところでございます」と答弁した。

1 本邦航空会社に対して口頭で通知したおおよその日時を明らかにされたい。
2 当該ノータムが航空法及び航空法施行規則に定める航空情報には当たらないという重要な通知であると思うが、こうした重要な事項をなぜ文書で通知しないのか。
3 国土交通省航空局長から定期航空協会長に宛てて発信した「「東シナ海防空識別区」の設定に係る飛行計画の提出の取り止めについて」(国空安企第四五号平成二十五年十一月二十六日)において、航空法施行規則で定める航空情報には当たらないということに触れていないのはなぜか。
4 法に基づく航空法施行規則で定める航空情報には当たらないということを口頭の通知で有効とする根拠を明らかにされたい。
5 本邦航空会社が当該ノータムに従わない場合、航空法あるいは施行規則に抵触しないという法的な根拠について明らかにされたい。
6 十二月三日の参議院外交防衛委員会において、岸田外務大臣は「日米間でも意思疎通、連絡を図る、こういった努力をしてきました」と答弁しているが、我が国が、国内法である航空法の施行規則で定める航空情報には当たらないという措置を行っているという事実関係について、米国政府と情報を共有しているか。

七 本邦航空会社が当該ノータムに従わない場合でも、安全上の問題はないと考えるか、政府の見解を明らかにされたい。また、その判断の根拠をあわせて明らかにされたい。

八 本邦航空会社は当初、自主判断で飛行計画を提出していたものを、政府が規則の解釈変更を行って提出の取止めを要請した。一方、米国政府は、民間航空会社の自主判断を容認している結果、飛行計画提出の取扱いが両国間で異なっているが、好ましい状況と考えるかどうか、政府の見解を明らかにされたい。

九 十一月二十四日に発表された外務大臣談話にある、今回の中国の措置に対する「一切の措置を撤回する」旨の要求を、主たる当事国である我が国の総理大臣としても早急に発表すべきと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

  右質問する。