質問主意書

第185回国会(臨時会)

質問主意書


質問第五四号

奨学金に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十五年十一月十一日

山 本 太 郎   


       参議院議長 山 崎 正 昭 殿



   奨学金に関する質問主意書

一 奨学金の返還猶予期限が五年に制限されている点について
 日本学生支援機構の奨学金返還猶予は、経済的困難を理由とする場合、給与所得者については、本人年収が三百万円以下であれば五年間のみ認められている。しかし、猶予期間の五年間が過ぎれば、本人年収の額にかかわらず返還を請求される。
 これでは、五年間の猶予期間後に本人年収が三百万円以下であっても、奨学金の返還が請求される。昨今の雇用状況の悪化は、とりわけ若年層の非正規雇用化を増加させており、低賃金が長期化していることは明らかである。この状況では、奨学金返還困難者、さらには延滞者が増加することは確実である。こうしたなかで猶予期間を五年間としていることには合理的な理由はないと考えるが、その理由を示されたい。
 また、昨今の雇用状況を考えれば奨学金返還猶予期間を限定するよりも、本人年収(例えば年収三百万円)を返還猶予の基準とすることの方が合理性をもつと考えるが、本人年収基準を採用しない理由を示されたい。

二 延滞金発生以後の奨学金返還の充当順序について
 日本学生支援機構の奨学金返還において延滞金が発生した場合、それ以後の返還は延滞金、利息、元本の順に充当される。このことが返還者にとって元本を減らすことを困難にし、奨学金返還の長期化を招いている。延滞金と利息は、貸付を行っている金融機関や回収を行っている債権回収会社に流れており、これからの学生への奨学金の原資とはなっていない。
 日本学生支援機構からは学生に対して「返還金がこれからの学生の奨学金の原資となる」と説明がなされているが、それならば充当順序は元本から開始すべきである。元本から開始せず、延滞金と利息を優先するのは、債権回収会社や金融機関の利益を優先していると見なされてもおかしくない。「返還金がこれからの学生の奨学金の原資となる」と説明されているにもかかわらず、延滞金発生後の奨学金返還が、延滞金、利息、元本の順となっているのはなぜか、政府の見解を示されたい。

三 延滞金について
 日本学生支援機構の奨学金において延滞が発生した場合、元本に対して年率十パーセントもの延滞金が発生する。この延滞金の存在が返還者の多くを窮地に追い込んでいる事例が、日本弁護士連合会が二〇一三年二月一日に行った「全国一斉奨学金返済問題ホットライン」や新聞などの報道によって、数多く報告されている。三か月以上の延滞者の八十三・四パーセントが年収三百万以下であるというデータからも明らかなように、奨学金の延滞は、延滞者の怠慢ではなく延滞者の貧困に主たる原因があることは明らかである。この状況において返還者に延滞金を課すことは、返還へのインセンティブを高めるのではなく、経済的に困っている返還者をより一層追い込むことになってしまう。
 二〇一三年八月に文部科学省から、延滞金の利率を年率十パーセントから年率五パーセントへ引き下げる概算要求が出されたことは、この延滞金の過酷さを認識したものと解釈できるが、これだけでは返還者の困難を根本的に解決することにはならない。奨学金の延滞が延滞者の怠慢ではなく延滞者の貧困に主たる原因があることが明らかである現在において、延滞金を課す理由を示されたい。

四 日立キャピタル債権回収株式会社とエム・ユー・フロンティア債権回収株式会社による回収について
 二〇一二年度、奨学金の延滞債権回収業務を受託した日立キャピタル債権回収株式会社は二十一億九千五百四十五万三千八十一円を回収し、一億七千八百二十六万円を売り上げ、エム・ユー・フロンティア債権回収株式会社は二十億三千九百二十七万九千四百七十五円を回収し、一億三千四百七十一万円を売り上げている。
 奨学金の延滞の主たる原因が延滞者の貧困にあり、年利十パーセントの延滞金が奨学金返還者にとって大きな負担となっている現状において、前述の両社に多額の利益が発生していることは、奨学金事業の公共的性格とは齟齬をきたすと思われるが、この点について政府の見解を明らかにされたい。
 また、両社が利益追求の観点から強引な回収を行う危険性が危惧されるが、回収の実態について政府の承知するところを示されたい。

  右質問する。