質問主意書

第185回国会(臨時会)

質問主意書


質問第五二号

地方衛生研究所の地方独立行政法人化に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十五年十一月十一日

江崎 孝   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   地方衛生研究所の地方独立行政法人化に関する質問主意書

 平成二十五年六月十七日に提出した「地方衛生研究所の地方独立行政法人化に関する質問主意書」(第百八十三回国会質問第一二七号)(以下「質問主意書」という。)に対する答弁書(内閣参質一八三第一二七号)を踏まえ、以下質問する。

一 質問主意書の質問二に対し、答弁書では、地方独立行政法人の対象業務について、「地方公共団体が自ら主体となって直接に実施する必要のないものであるかどうかについては、個別具体の事例に応じて、地方独立行政法人法第二条第一項その他関係する法令の規定に照らして判断すべきもの」としているが、「その他関係する法令の規定」とは具体的に何を指すのか。また、認定の申請を受けた総務大臣は、「重大な危機管理に直結」する事務・事業は独立行政法人の対象業務外とした平成九年十二月の行政改革会議最終報告に則り、判断すべきと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

二 「新型インフルエンザ等対策政府行動計画」(平成二十五年六月七日決定)では、新型インフルエンザ等対策を国家の危機管理に関わる重要な課題と位置付け、地方衛生研究所において、新型インフルエンザ等のPCR検査等の確定検査を行うこと等を明記している。国立感染症研究所、保健所等と一体となった危機管理対応が求められる地方衛生研究所の業務は、「重大な危機管理に直結し」、「試験研究業務のうち、直接行政活動に携わるなど特別な業務」に当たり、地方公共団体が自ら主体となって直接に実施する必要があると考えるが、政府の見解を示されたい。

三 地方衛生研究所は、調査研究、試験検査、研修指導及び公衆衛生情報等の収集・解析・提供の業務を行っている。これらの業務は、感染症や食中毒の検体検査と発生届出情報、疫学調査情報を総合的に解析し、感染拡大防止や検査手法・治療法の開発につなげるなど、一体的に行われる必要があるが、地方衛生研究所を地方独立行政法人化した場合、解析の委託に当たり、患者情報、検体情報、疫学調査情報の提供について制限を課す必要が生じるのではないか。また、これらの情報等を研究目的に使うことについて倫理審査上の問題はないのか、政府の見解を明らかにされたい。

四 質問主意書の質問八で示した健康危機管理対策上の懸念に対し、答弁書では、「「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律の施行に伴う感染症発生動向調査事業の実施について」(平成十一年三月十九日付け健医発第四百五十八号厚生省保健医療局長通知)を見直すこと等により、積極的疫学調査に係る事務の適正な実施を確保」するとしているが、具体的に、同通知をどのように見直すのか示されたい。

五 感染症の発生動向を一元的に効率よく収集解析するため構築された感染症サーベイランスシステムにおいては、保健所が入力した患者情報(発生届出情報)を、地方感染症情報センターが確認(補正)をして中央感染症情報センター(国立感染症研究所)に送付している。患者情報(発生届出情報)は、患者氏名、年齢、患者住所、症状、診断医師名、感染経路(接触者名等)など、特に厳格かつ適正な取扱いが求められる個人情報であるが、「地方感染症情報センター」を設置する地方衛生研究所が地方独立行政法人化された場合、患者情報の収集・厚労省への報告事務について、引き続き行うことは可能なのか。地方独立行政法人に委託する場合、情報収集や閲覧への制限を課すことはないか。

六 質問主意書の質問九に対し、答弁書では、食品衛生法第二十九条に関し、「都道府県等が設立した地方独立行政法人の検査施設は、同条の規定により当該都道府県等が設けなければならないとされた検査施設に当たると解される」としている。これは、「地方独立行政法人は、地方公共団体とは独立した法人格を有するもの」であり、「地方独立行政法人は、食品衛生法第二十五条第一項及び第二十六条第一項から第三項までの検査に関する事務はできない」とした東京都からの疑義照会に対する平成十八年一月二十日付け通知と矛盾するのではないか。答弁書は、同通知は、「試験研究を業務とする法人」についての回答であり、「照会の対象となった地方独立行政法人が、食品衛生検査施設としての業務を行うものであるかどうかが必ずしも明らかでなかった」としているが、東京都の疑義照会は、「今般、東京都における当該食品衛生検査施設のうち一部の施設が、平成十八年四月に地方独立行政法人法第二条第一項に規定する地方独立行政法人に移行する予定」である旨明記しており、当該地方独立行政法人が「食品衛生検査施設としての業務を行うもの」であることは明らかではないか。逆に、平成二十四年八月二十二日付け通知に対応する大阪府及び大阪市からの疑義照会文書においては、対象となる地方独立行政法人が「食品衛生検査施設としての業務を行うもの」とは書かれていない。それにもかかわらず、答弁書において、「照会の対象となった地方独立行政法人が、食品衛生検査施設としての業務を行うものであることが明らかであった」とした根拠を示されたい。

  右質問する。